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2012年11月23日金曜日

第26回日本臨床内科医学会(徳島県)教育講演5 骨粗鬆症診療の進歩

第26回日本臨床内科医学会(徳島県)教育講演5 骨粗鬆症診療の進歩
高齢者で急速に骨粗鬆症が増加している。要介護原因の1位脳卒中2位認知症3位は骨折であり、健康寿命をさまたげ、様々な疾患の合併により死亡リスクも高めている。骨粗鬆症とは骨密度と骨質(構造特性と材質特性)できまる骨強度が低下した状態である。頭の高さ以下から落ちて骨折するのは弱い骨といえる。転倒しやすさも骨折の大きなリスクである。骨密度により骨粗鬆症と診断できない人で骨折リスク高い人は多い。そこで骨密度だけによらない骨折リスクを拾い上げるFRAXが開発された。しかし2型糖尿病患者ではFRAXによる評価を超えて骨折しやすい。これはAGE架橋の増加により骨がもろいためである。ステロイド服用者や不動性骨粗鬆症にもビスフォスフォネート投与が望ましい。副作用として顎骨壊死や大腿骨転子下非定型骨折などがあるが副甲状腺ホルモン製剤テリパラチドで改善する。ビスフォスフォネート終了後ラロキシフェン投与でいったん上がった骨密度を維持できる。骨粗鬆症の軽症者はラロキシフェンのよい適応である。高齢者ではビタミンD不足と活性低下、腸管からのカルシウム吸収低下があり、新しい活性型ビタミンD製剤エルデカルシトールが効果的である。新しい有望な薬も次々に登場し、骨粗鬆症治療の将来は明るい。(記 岡 正直)

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