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2017年4月28日金曜日

神内ニュース78号 お知らせ(平成30年新春学術講演会)

お知らせ(平成30年新春学術講演会)

 平成30年1月18日(木)19時15分より横浜駅西口の横浜ベイシェラトンホテル&タワーズにて、神奈川県内科医学会平成30年新春学術講演会が開催される予定です。担当は高血圧・腎疾患対策委員会で、講演1「慢性腎臓病合併2型糖尿病症例におけるSGLT2阻害薬投与の影響」(仮)を高血圧・腎疾患対策委員会 小林一雄先生に、また講演2「日本人の高血圧の成因と最適治療法の研究」を日本臨床内科医会会長 慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科名誉教授 猿田享男先生にご講演いただく予定です。平成28年度の井村臨床研究賞を受賞されたお仕事の内容を、まとめてお聞きできるまたとない貴重なチャンスです。多くの先生方のご参加をお願い申し上げます。

2017年4月25日火曜日

薬物性肝障害

薬物性肝障害    岡 正直

【はじめに】
 薬物性肝障害(drug induced liver injury: DILI)は薬物自体または薬物の代謝産物が原因となって引き起こされる肝臓の異常である。薬物の多くは肝臓で代謝を受けるため、この疾患について常に注意しながら診療する必要がある。最悪の場合、劇症化して死に至る場合もある。
 近年、新しい薬が数多く、しかも目まぐるしく登場し、それらの薬剤の肝臓への影響についてもよくわからないことが多いと感じている。常に新しい副作用情報に気を配ることを怠ってはならない。表1に最近の薬物性肝障害例の起因薬について示した。注目すべきことは健康食品や漢方薬に起因する症例が多いことである。健康食品や漢方薬によって肝障害が起きうるという意識が患者側に乏しく、それらの服用について申告しないことも多いため、最初の問診の段階での注意深い聴取が重要となる。
(表1)                   (図1)

 図1に示すように、薬物が投与されてから40%が1~2週間以内に肝障害が発生している。60%は1か月以内であるが、3か月から1年かかって発症する症例も少なからずあるため、十分過去に遡っての服薬歴の確認が必要である。「お薬手帳」などをぜひ活用したい。繰り返しになるが、「お薬手帳」に記載されていない健康食品などの使用についても確認を怠ってはならない。

【DILIの分類】
 DILIの原因による分類としては、「中毒性」と「特異体質性」と「特殊型」に分けられる。(表2)
 「中毒性」の肝障害においては、薬物自体またはその代謝物が肝臓毒性を持っており、用量依存性で予測可能な場合が多い。
 「特異体質性」はさらに「アレルギー性特異体質」と「代謝性特異体質」によるものに分けられる。「アレルギー性」の場合、薬物自体や中間代謝産物がハプテンとなり担体蛋白と結合して抗原性を獲得し、T細胞依存性に肝細胞障害をきたすものである。「代謝性」の場合、薬物代謝関連酵素の遺伝的素因などに起因する特殊な個人差によって生じるものである。「特異体質性」は一般に用量依存性ではなく、発症の予測は困難なことが多い。DILIの多くは「アレルギー性特異体質」によって起こると考えられる。
 「特殊型」として腫瘍形成や脂肪化をきたすものがある。経口避妊薬や蛋白同化ホルモンなどの長期服用による肝腫瘍や、ある種の薬物による脂肪肝や非アルコール性脂肪肝炎(NASH)発症である。
  (表2)


 DILIの肝障害のタイプによる分類としては、「肝細胞障害型」と「胆汁うっ滞型」と「混合型」に分けられる。「肝細胞障害型」は60%、「胆汁うっ滞型」は20%、「混合型」は20%である。
 「肝細胞障害型」では、AST、ALTの上昇が主体でALPの上昇は軽度から中等度で基準値上限の2倍を超えない。一方「胆汁うっ滞型」では、AST、ALTの上昇は軽度で基準値上限の2倍を超えないが、ALPは基準値上限の2倍以上で?‐GTPも著明に高値を示し、ビリルビン値も早期より増加する。「混合型」は前2者の特徴を併せ持つもので、AST、ALT、ALPの基準値上限の2倍を超える上昇が見られるものである。

【DILIの症状】
 DILIには特徴的な臨床症状はない。無症状のまま、肝機能検査の異常が診断のきっかけになることが多い。「アレルギー性特異体質」による肝障害では、しばしば様々な皮疹(蕁麻疹、湿疹様、Stevens-Johnson症候群など)や発熱などのアレルギー反応に伴う症状を認めることもある。また、白血球増多や好酸球増多をみることもある。「中毒性」や「代謝性特異体質性」では特徴的な所見はない。
 「肝細胞障害型」ではAST、ALTの上昇が主体でALPの上昇は軽度ないし中等度だが、高度に障害されると、直接ビリルビン主体の上昇がみられる。「胆汁うっ滞型」では、胆汁うっ滞に伴って黄疸や皮膚掻痒感が出現することがある。AST、ALTの上昇は軽度であるが、ALPや?-GTPは著明な上昇を示す。間接ビリルビンの上昇も早期から認める。
 しばしば抗核抗体(ANA)、抗ミトコンドリア抗体(AMA)、抗平滑筋抗体(SMA)などの自己抗体が出現することがあり、自己免疫性肝炎(AIH)との鑑別が困難な場合もある。
 重篤な場合、倦怠感、食欲低下、嘔気、茶褐色尿や黄疸などが出現する。また肝不全に陥ったときは、肝性脳症、出血傾向、腹水貯留などの症状がみられる。血清アルブミンやコリンエステラーゼ値も低下する。詳しくは「肝不全」の章を参照のこと。このような事態になる前に、できるだけ早い段階で気づいて被疑薬の中止と適切な対応を行うことが重要である。

【DILIの診断】
 1993年の国際コンセンサス会議の診断基準に手を加えた、2004年の日本肝臓学会の診断基準を用いるとよい。これは、ALTとALPの値から肝障害のタイプを決定し、8つの項目のスコアリングにより診断を行うものである。この診断基準を用いて診断を行った結果、「可能性が高い」が87.3%、「可能性あり」以上が97.8%と感度は良好であった。図2に示すように、日本肝臓学会のホームページにマイクロソフトエクセルによるスコアリングソフトがあるので、ダウンロードして利用するとよい。

(図2)

図3はスコアリングソフトを起動した画面である。これを参照しながら診断について説明したいと思う。
  「ステップ1」としてALTとALPの値により「肝細胞障害型」と「胆汁うっ滞型あるいは混合型」の二つのタイプに分ける。Nを施設における正常上限値とし、ALT比=ALT/N(NはALTの正常上限値)、ALP比=ALP/N (NはALPの正常上限値)とすると、「肝細胞障害型」は「ALT>2NかつALP≦N」または「ALT比/ALP比≧5」となるもので、「胆汁うっ滞型」は「ALT≦NかつALP>2N」または「ALT比/ALP比≦2」となるもので、「混合型」は「ALT>2NかつALP>N」かつ「2<(ALT比/ALP比)<5」となるものである。煩雑のようだが、スコアリングソフトを用いれば、ALT、ALPそれぞれの実測値と正常上限値を入力するだけで、自動的に計算し判定が行われるので楽である。
 次に「ステップ2」として、タイプ別に8つの項目についてスコアリングを行う。スコアリングソフトを使用すると、当てはまる選択肢をクリックすれば、自動的に計算が行なわれる。

(図3)

(1)発症までの期間
  薬物投与前の発症は「関係なし」、発症までの経過が不明な場合は「記載不十分」と判断して、スコアリングの対象としない。投与中の発症か、投与中止後の発症かにより、aまたはbどちらかのスコアを使用する。肝細胞障害型の方が発症までの期間が短い傾向がある
(2)経過
 DILIの多くは原因薬物の中止により、速やかに肝障害が改善することが多い。ただし胆汁うっ滞型の場合は治癒に時間がかかる傾向がある。
(3)危険因子
 アルコール性肝障害の可能性についての検討が必要である。胆汁うっ滞型の場合、妊娠についても考慮すること。
(4)薬物以外の原因の有無
 「カテゴリー1」としてウイルス性肝炎(HAV,HBV,HCV)、胆道疾患、アルコール、ショック肝
 「カテゴリー2」としてサイトメガロウイルス、EBウイルス感染症
 ウイルス感染については、IgM-HA抗体、HBs抗原、HCV抗体、IgM-CMV抗体、IgM-EB-VCA抗体で判断する。
(5)過去の肝障害の報告
 疑われる薬物について、過去に肝障害についての報告があったか、薬物の添付文書に肝障害の記載があるかどうか。
(6)好酸球増多
 6%以上の増加をみる場合、アレルギー性特異体質性薬物性肝障害の可能性を示唆する。
(7)DLST(drug-induced lymphocyte stimulation test 薬物リンパ球刺激試験)
 陽性の場合、アレルギー性の機序が考えられるが、検査に用いた薬物の代謝産物に対するアレルギーが原因となっていることもあり、陰性だからといって否定できない。また免疫系を活性化する作用がある漢方薬では偽陽性となることも報告されている。この検査に対する保険の適応が無いことに注意すること。
(8)偶然の再投与が行われた時の反応
 あくまでも意図せず偶然に投与された場合についてのみ評価する。診断目的に再投与することは大変危険であり、決して行ってはならない。43%で重篤な有害事象が認められ、2.3%が死亡したと報告されている。
 「ステップ3」では、以上の8項目の総スコアにより、2点以下ではDILIの可能性は低く、3ー4点では可能性あり、5点以上では可能性が高いと診断される。診断に苦慮する場合や肝障害の程度が大きい場合は、速やかに肝臓専門医に相談することである。

【DILIの治療】
 基本的には原因薬物の同定を速やかに行い、早い段階でその薬物の投与を中止することが一番である。軽度の肝障害であれば、中止するだけで自然に改善する。安易な薬物の使用は肝障害をさらに悪化させることもあり、慎重であるべきである。
 ALTが300以上、総ビリルビン値が5以上など、中等度以上の肝細胞障害や黄疸がある場合は入院にて経過観察する。中等度以上の肝細胞障害型の場合、強力ネオミノファーゲンC(SNMC)の静注やウルソデオキシコール酸(UDCA)の経口投与を行う。中等度以上の胆汁うっ滞型の場合、胆汁の流出障害に伴う脂肪の吸収不良防止のため、低脂肪食にする。また総ビリルビン値10以上の遷延する黄疸例に対しては、脂溶性ビタミンの補充を行う。
 劇症肝炎や遅発性肝不全(LOHF)の原因としてDILIの頻度は高く10~15%を占めている。劇症肝炎やLOHFの死亡率は約60%と予後不良であり、プロトロンビン時間の著明な延長や意識障害の出現などこれらへの移行が危惧される症例では、最後の救命手段である肝移植の段取りを早めに開始しなければならない。

【おわりに】
 薬物代謝を行う重要な酵素にサイトクロームP450(CYP)がある。CYPの分子種の酵素活性は各民族また各個人により大きく異なっていることが分かってきた。酵素をつくる遺伝子に突然変異が起こると、酵素をつくる蛋白の組成が変わり酵素活性がなくなる。このような人が比較的多い場合、遺伝的多型があるという。薬物を代謝する活性がない人にその薬物を投与すると、酵素活性がある人に較べ数十倍から数百倍の濃度に上昇し、副作用が出現しやすくなると考えられる。以前はDILIの原因の多くはアレルギー性特異体質と考えられていたが、このような薬物代謝酵素の多型性による代謝性特異体質によると考えられる症例が増えている。薬物代謝には個体間差があることが明らかとなり、遺伝子多型とDILIの発症との関連性を検討することにより、今後オーダーメイド医療によって薬物の副作用を軽減することが可能になる展望が開けてきている。

【参考】
日本肝臓学会ウェブサイト(http://www.jsh.or.jp)
肝臓専門医テキスト 改訂第2版(2016 日本肝臓学会)
重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬物性肝障害(平成20年4月 厚生労働省)
薬物性肝障害の診断と治療 滝川一(日本内科学会雑誌104巻5号)
OSAKA UNIVERSITY肝炎診療マニュアル(2013 中外医学社)
内科診療実践マニュアル第2版(2016年11月 日本臨床内科医会)

2017年4月22日土曜日

神奈川県内科医学会 第6回肝炎対策委員会 2017.04.25

神奈川県内科医学会 第6回肝炎対策委員会

日時 平成29425()1930~ 場所 神奈川県総合医療会館4階第二会議室

1.開会
2.挨拶
3.議題
1)平成29新春学術講演会
平成29119日(木)19:30~ 横浜ベイシェラトンホテル&タワーズにて
医薬品評価検討委員会と肝炎対策委員会合同で企画   共催メーカー Abbvie合同会社
特別発言「健康長寿社会を目指す委員会によるアンケート調査結果について」
講師 中 佳一名誉会長
講演1 「これからのC型肝炎治療」 座長 岡委員長
      講師 横浜市立大学附属市民総合医療センター 消化器内科教授 田中克明先生
講演2 医薬品で健康を害うことのない世界をつくるために」 座長 湯浅委員長
       講師 川崎北合同法律事務所 湯山 薫 弁護士
       講師 清和総合法律事務所  服部功志 弁護士
  講師 薬害C型肝炎被害者 浅倉美津子 様

2)肝臓病を考える病診連携の会~肝がん撲滅を目指して~
(2-1)25回 平成281119日(土)1720~ (資料A)
 会場 相模原南メディカルセンター大会議室 232-0303相模原市南区相模大野4-4-1グリーンホール相模大野内
 担当 第5地区 中野史郎 先生 共催:ブリストルマイヤーズ
  一般演題座長 相模原医師会 沓掛伸二 先生
 ▶一般演題1「粘液産生胆管腫瘍の一例」
相模原協同病院診療部 臨床研修医 河本千尋 先生
 ▶一般演題2「巨大胃静脈瘤に対してNBCAにて逆行性塞栓術を施行した一例」
北里大学医学部 消化器内科学 助教 中谷征己 先生
 特別講演
座長 北里大学医学部消化器内科学講師 日高 央 先生 (ひだか ひさし)
「HCV根絶へのカウントダウン」
北里大学医学部 消化器内科学助教 魚嶋晴紀 先生

2-2)第26回 平成29617日(土曜日)16001800(資料B)
  会場 TKPガーデンシティ横浜2F 横浜市神奈川区金港町3-1コンカード TEL045-450-6317
  担当 第1地区 岡 正直 共催 MSD
 ▶一般演題
座長 永井一毅 先生
「横浜内科学会肝疾患抽出事業の進捗状況について」   永井一毅 先生
「社員健診での肝機能障害への対応(産業医の立場から)」 
アズビル株式会社 統括産業医 今井鉄平 先生
 ▶特別講演 
座長 多羅尾和郎 先生
「新時代を迎えたC型肝炎のDAA治療~新たな感染者の掘り起こし~」
埼玉医科大学病院 消化器内科・肝臓内科 教授 持田 智 先生

開始時間を早め、終了時間も早めにした  

2-3)第27回 平成29111825
  会場 未定  担当 第2地区 小林明文先生 共催 大日本住友製薬

2-4)第28回 平成30年春
  会場 未定 担当 第3地区

ブリストルマイヤーズ脱退希望あり
  共催メーカは現在4社(MSDEAファーマ、ブリストルマイヤーズ、大日本住友
  ギリアード社の参加を強く要請している。
29回 平成30年秋の開催はどうするか? 第32回日本臨床内科医学会(9月神奈川)に合流するか?

3)ウイルス肝炎患者掘り起こし事業
横浜内科学会肝疾患管理病診連携ガイド(永井一毅先生主導)データをさらに収集していく
職域における調査をすすめる

4肝炎対策委員会編集による肝疾患についての書籍の企画
神奈川県内科医学会50周年記念企画のひとつとして出版予定。
32回日本臨床内科医学会 平成309月15日(土)~17日(月祝)パシフィコ横浜
での配布をめざして内容を検討していく。
市販が可能な書籍をめざす。
現在シリーズで刊行中の「これだけは知っておきたいC型・B型肝炎の知識」の2倍程度の分量で計画したい。
実臨床でよく遭遇する肝疾患について、最先端の内容を盛り込みつつ、非専門の臨床医にわかりやす記載る。
書名「これだけは知っておきたい肝臓病の知識」(仮)
執筆分担(案、敬称略
C型肝炎 多羅尾、藤井
B型肝炎 宮本、高山
NAFLD/NASH 斉藤
原発性胆汁性胆管炎(PBC 永井
自己免疫性肝炎(AIH 池田
薬剤性肝障害(DILI
肝不全 松本
肝がん 中澤
5その他 


4.次回開催  平成29年   月   日 ( 火 ) 1930







(資料A)
  25回「肝臓病を考える病診連携の会」 第101回さがみリバーカンファレンス





(資料B)
  26回「肝臓病を考える病診連携の会」 

2017年4月18日火曜日

日本臨床内科医会総会 2017.04.16 ランチョンセミナー1 C型肝炎撲滅を目指して

テーマ「C型肝炎撲滅を目指して」

 「日本における肝炎対策の現状と今後」について厚生労働省健康局がん・疾病対策課肝炎対策推進室の磯田広史肝炎対策専門官の講演を拝聴した。我が国の肝炎ウイルスの持続感染者数はB型で110~140万人、C型で190~230万人と推定され、未治療のまま放置すると、肝硬変や肝がんといった重篤な疾病へ進行する危険性があるため、感染者を早期に発見し、早期に適切な医療を実施することが重要である。厚生労働省は肝炎対策基本法や肝炎対策基本指針を踏まえ、抗ウイルス治療への医療費助成や肝炎患者の重症化予防対策、B型肝炎に対する創薬をはじめとする肝炎研究などの肝炎総合対策を推進している。対策の実施においては国や地方公共団体のみならず、あらゆる関係者の連携が必要で、第一線で臨床に携わる先生方にも、施策も含めた肝炎に関する正しい情報を知り、国や地方公共団体の肝炎対策の推進と良質な肝炎医療の提供にご協力頂きたい。平成28年度には肝炎対策の現状と課題を整理し、肝炎対策基本指針の改正と肝炎研究10ケ年戦略の中間見直しを行った。根本的な治療薬が存在しないB型肝炎に対する創薬実用化研究に注力したい。また肝炎検査の受診率の向上、特に職域における肝炎ウイルス検査の促進も重要である。50人未満の会社での健診で肝障害を指摘されて肝炎ウイルス検査を受けた人は13.6%に過ぎないというのは驚きである。芸能人を起用した「知って、肝炎プロジェクト」啓発活動も進めている。
 引き続き「C型肝炎治療と経過観察の新たな戦略」について国家公務員共済組合連合会新小倉病院の野村秀幸副院長の講演を拝聴した。第2次世界大戦を契機に世界中に蔓延したC型肝炎の日本における患者数は、2011年の推計で120万人(人口の約1%)と言われている。現在通院中の患者は50万人(治療による治癒患者25万人を含む)、感染を知りながら継続受診していない患者は25万人から70万人、感染を知らない潜在HCV感染者は20万人から35万人と推定される。現在は症状がなく特に困っていないので、治療を受けていない患者も多い。また医師から「通院しなくてよい」、「経過観察でよい」と言われ、そのまま通院していない患者も少なくない。最近の研究ではALT(GPT)が正常範囲内であっても、慢性C型肝炎患者の65%に軽度の肝線維化がみられたという。漫然とした患者の抱え込みは、取り返しのつかない結果となる恐れがある。最近のC型肝炎治療は劇的な進歩を遂げた。2014年からC型肝炎に対するインターフェロンを使用しない経口剤のみの24週間治療が開始され、2015年からは世界標準の12週間の経口剤のみの治療も始まり、96%以上の患者が重篤な副作用もなく治癒するようになった。現在では高齢者にも、一部の肝硬変患者にも積極的に行われている。高額な治療費については公費助成制度を利用すると月額1~2万円で治療を受けることができる。治療初期からウイルス量は激減し、肝機能も正常化する。再燃患者はごく少数で、ほとんどの患者が治癒する。自覚症状としての全身倦怠感や食欲不振も治療中から改善し、治療後ほとんどの患者のQOLも向上して元気になってくるのは驚きである。ウイルスの消失に伴い肝発癌リスクの低下が期待されるが、ゼロになるわけではなく、特に高齢者、男性、肝線維化進展例、脂肪肝や糖尿病のある患者に対しては、治療後も注意深いフォローアップを続けることが必要である。

2017年4月15日土曜日

横浜市港南区医師会 平成28年度事業報告 情報システム部

平成28年度 事業報告 情報システム部

1.ホームページの運用・管理の充実を図った。
2.ORCA(日医標準レセプトソフト)への対応と普及に努めた。
3.日医・県医・他都市医師会並びに区医師会との連携を推進した。
4.横浜市医師会の部会に出席し市医との連携を推進した。
5.レセプト請求システムへの対応を行った。
6.ipadを利用してペーパーレス会議を行った。
7. 災害時における通信手段を検討した。
8. マイナンバー制度へ対応した。
9. クラウドサービスを活用して情報共有を開始した。

2017年4月14日金曜日

港南区医師会  H27年度事業報告  情報システム部 

H27年度事業報告 情報システム部

1.ホームページの運用・管理の充実を図った。
2.ORCA(日医標準レセプトソフト)への対応と普及に努めた。
3.日医・県医・他都市医師会並びに区医師会との連携を推進した。
4.横浜市医師会の部会に出席し市医との連携を推進した。
5.レセプト請求システムへの対応を行った。
6.ipadを利用してペーパーレス会議を行った。
7.レセコン及び電子カルテ使用状況についてのアンケートを行った。
8.ホームページをリニューアルした。

2017年4月11日火曜日

神奈川県内科医学会 第1回総務企画部会議事録 2017.04.10

神奈川県内科医学会 第1回総務企画部会議事録
平成29410日(月)午後745分~ 神奈川県総合医療会館1階会議室B

1.開会
2.挨拶
本日は宮川会長ご欠席ですが、海老名での集談会の優秀演題の選定を中心にご討議ください(武田副会長)
3.議題
1)総務企画部員の交代について
東原 正明 先生(北里大)より、小泉 和三郎(かずさぶろう)先生に
2)第1回幹事会(4/20)の司会・書記について
420日 司会 宮島先生 ・ 書記 相川先生
新年度以降も今までと同様に、小林一雄副部会長に割り当てをお願いする
3)第1回幹事会(4/20)の議事について
議事と進行について検討した
4学術活動について
4-1)第80回集談会の優秀演題の選定(2題)
平成29218日(土)1500 会場 オークラフロンティアホテル海老名3F ラローズ
担当 第5地区 海老名内科医会(濱田芳郎 先生)
1510~ 一般演題 21題(発表5分 質疑2分)
1750~ 特別講演  「腸内細菌と免疫」
講師 慶応義塾大学医学部 微生物学・免疫学教室教授 本田賢也 先生
優秀演題決定
14「高齢者のピロリ除菌は何歳まで行うべきか
 年齢別による除菌後の内視鏡所見の改善度と組織学的変化の検討」
南毛利内科 抗加齢/人間ドックセンター 内山順造 先生 他
21「当院における睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治験」
海老名ハートクリニック 脳神経外科 矢部熹憲 先生

次回平成30年の集談会は秋の日本臨床内科医学会に統合するためなし。
 平成31年に第81回集談会を第1地区で開催予定。

4-2)平成29年定時総会時学術講演会(平成29520日土曜日)の企画
平成29520日(土)17201920 横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ4階「清流Ⅰ」
共催メーカー 第一三共
開会の辞 宮川政昭 会長
講演1 座長 高血圧腎対策委員会委員長 佐藤和義 先生
「CKDに克つための血圧管理とは」
  講師 横浜市立大学医学部 循環器・腎臓内科学教授 田村功一先生
講演2 座長 神奈川県内科医学会幹事 長谷川修 先生
「環境因性神経疾患(公害病・医原病)~医師による気づきの重要性~」
  講師 鈴鹿医療科学大学医療科学研究科長 葛原茂樹 先生
閉会の辞 (      )副会長
平成30年の定時総会は519日(土)神奈川県総合医療会館にて
9月の日臨学会に戦力を投入のため、学術講演会なし、共催メーカーなしで開催の予定

4-3)第42回臨床医学研修講座の企画
平成2992日(土) 担当は聖マリアンナ医大 と 第2地区
平成30年の臨床医学研修講座は9月の日本臨床内科医学会に統合するためなし。

4-4平成30年新春学術講演会の企画
日時 平成30118日(木) 横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ
1800より幹事会  1915より講演会 
担当 高血圧・腎疾患対策委員会
共催メーカー 未定
講演1 「慢性腎臓病合併2型糖尿病症例におけるSGLT2阻害薬投与の影響」 (仮)
講師 高血圧・腎疾患対策委員会 小林一雄 先生
講演2 未定
講師 日本臨床内科医会会長 猿田享男(さるた たかお)先生(案)
猿田先生には、416日の日本臨床内科医学会総会の際にコンタクトする予定

5)その他
平成28年度の決算は数百万円の赤字になると思われる。(井野元先生)
閉会挨拶 (松田副会長)

4.次回開催について
平成2965日(月)午後745分~
神奈川県総合医療会館1階会議室B










【参考】本体事業講演会一覧表 最近12年間+3年先 ( )内は地区



新春学術講演会
集談会開催地
総会時学術講演会
臨床医学研修講座
秋季
2020/H32

2

東海(4
なし
2019/H31


1


北里(5
なし
2018/H30
高血圧・腎疾患
1/18
なし
日臨学会に統合
会議のみ
神奈川県総合医療会館 5/19
なし
4大学合同開催で日臨学会に統合)
日本臨床内科医学会
2017/H29
医薬品評価検討
肝炎対策1/19
海老名(52/18
未定・田村功一
環境(公害)と医学~医師の観察の重要性~・ 葛原茂樹
ベイシェラトンH&T 5/20
聖マリ(29/2
なし
2016/H28
禁煙・分煙推進
呼吸器疾患対策
小田原(4
高齢認知症とうつ病・中村祐
地域の医療提供体制・高橋泰
 ベイシェラトンH&T 5/21
横市(110/15
市大センター病院
なし
2015/H27
糖尿病対策
横須賀(3
医学史・酒井シヅ
東海(410/31
なし
2014/H26
高血圧・腎疾患
川崎(2
遺伝子・和泉俊一郎
北里(5) 11/1
なし
2013/H25
肝炎対策
横浜(1
iPS細胞・中畑龍俊
聖マリ(2) 9/21
なし
2012/H24
呼吸器疾患対策
厚木(5
医事紛争・平沼高昭
横市(110/20
川崎(2
2011/H23
糖尿病
厚木(4
腎不全・木村健二郎
東海(4) 9/10
横須賀(3
2010/H22
糖尿病
湘南国際村(3
糖尿病・山田祐一郎
北里(5) 9/18
藤沢(4
2009/H21
糖尿・腎臓
川崎(2
医療行政・行天良雄
聖マリ(2) 9/27
横浜(1
2008/H20
亜鉛
横浜(1
糖尿脂質・肝炎
横市(1) 9/28
横浜(1
2007/H19
胃と大腸
大和(5
医療行政・眼科・メタボ
東海(4) 9/30
横浜(1
2006/H18




糖尿病・医学教育
北里(5) 10/1
横浜(1