日本臨床内科医学会 教育講演3「褥瘡のラップ療法」
宮城県大崎市民病院鹿島台分院内科診療部長 鳥谷部 俊一 先生
演者が1996年に創案した「ラップ療法」とは、安価な食品用ラップフィルムや紙おむつなどの日用品を貼付する褥瘡の処置法である。医療資源の乏しい海外の国や、高齢社会となり褥瘡人口の増えている我が国の医療経済にも有益と考えられる。ラップ療法は単なる創傷被覆材の安価な代替というだけでなく、従来の処置に優るとも劣らない褥瘡治癒効果を実現している。通常の厚みのある創傷被覆材は圧力やズレ力により創に物理的損傷を与えるが、薄く柔らかいラップではそれがないため治癒が早まると考えられる。透明なので創の状態観察が容易という利点もある。
ラップ療法の実際は①患部を毎日洗浄し、周辺にワセリンを薄く塗り、患部全体を十分に覆う大きさの穴あきフィルムを貼る。絆創膏は使わない。②浸出液はケアシートや紙おむつをあてて吸収させる。浸出液が多ければ一日数回処置する。③創を毎日観察し感染兆候を見逃さない。創感染は治癒を妨げる外用抗菌剤を使わず抗生剤を全身投与する。壊死組織は適切に除去する。
ラップ療法は有効性の高い創処置なので、褥瘡予防・治療の基本である栄養・体圧分散ケアを簡便化できる。ラップ療法の原理を応用した滅菌医療材料「モイスキンパッド(白十字)」が入手可能となっている。
2016年10月24日月曜日
神奈川県内科医学会 第5回肝炎対策委員会 2016.10.25
神奈川県内科医学会 第5回肝炎対策委員会
日時 平成28年10月25日(火)19:30~ 場所 神奈川県総合医療会館1階会議室A
1.開会
2.挨拶
3.議題
(1)平成29年新春学術講演会の企画
平成29年1月19日(木)19:30~ 横浜ベイシェラトンホテル&タワーズにて
平成29年1月19日(木)19:30~ 横浜ベイシェラトンホテル&タワーズにて
医薬品評価検討委員会と肝炎対策委員会合同で企画 共催メーカー Abbvie合同会社
開会 宮川会長
特別発言 中 佳一名誉会長(変更あり、依頼すみ)
講演1 「これからのC型肝炎治療」 座長 岡委員長
講師
横浜市立大学附属市民総合医療センター 消化器内科教授 田中克明先生(依頼すみ)
講演2 未定(薬害肝炎訴訟に学ぶ
医薬品の適正使用のあり方について)座長 湯浅委員長
講師
川崎北合同法律事務所 湯山 薫 弁護士(依頼すみ)
講師
清和総合法律事務所 服部功志 弁護士(依頼すみ)
閉会 出川副会長 あるいは 金森副会長
情報交換会
※講演2の打ち合わせ会 平成28年11月21日(月)19:45~ 神奈川県総合医療会館にて(資料1)
湯山弁護士、服部弁護士
、宮川会長、湯浅、岡 出席予定
(2)肝臓病を考える病診連携の会~肝がん撲滅を目指して~の進捗
(2-1)第24回 平成28年6月11日(土)
会場 平塚プレジール
会場 平塚プレジール
〒254-0811 神奈川県平塚市八重咲町 3-8(JR東海道線平塚駅南口 徒歩1分)
担当 第4地区 高山医院 高山秀明 先生 共催:EAファーマ
▶一般演題1「DAA治療後のフォローアップの重要性」
▶一般演題1「DAA治療後のフォローアップの重要性」
平塚市民病院消化器内科部長 坂口隆先生
▶一般演題2「ソラフェニブにて巨大シャントが消褪しTACEが可能となった症例」
藤沢市民病院消化器内科 露木翔先生
▶特別講演「C型慢性肝炎の過去から未来」(演者交代)
東海大学医学部内科学系消化器内科学准教授
肝疾患医療センター長 加川 建弘 先生 (かがわ たてひろ)
(2-2)第25回 平成28年11月19日(土)(資料2)
会場 相模原南メディカルセンター大会議室
〒232-0303相模原市南区相模大野4-4-1グリーンホール相模大野内 TEL042-749-2101
担当 第5地区 中野史郎 先生 共催:ブリストルマイヤーズ
一般演題座長 相模原医師会 沓掛伸二 先生
▶一般演題1「粘液産生胆管腫瘍の一例」
相模原協同病院診療部 臨床研修医 河本千尋 先生
▶一般演題2「巨大胃静脈瘤に対してNBCAにて逆行性塞栓術を施行した一例」
北里大学医学部 消化器内科学 助教 中谷征己 先生
▶特別講演
座長 北里大学医学部消化器内科学講師 日高 央 先生 (ひだか ひさし)
「HCV根絶へのカウントダウン」
北里大学医学部 消化器内科学助教 魚嶋晴紀 先生
(2-3)第26回 平成29年6月10日または17日または24日(土曜日)
会場 TKPガーデンシティ横浜
横浜市神奈川区金港町3-1コンカード横浜 TEL045-450-6317
担当 第1地区 岡 正直 共催 MSD
▶一般演題
(仮)「社員健診での肝機能障害への対応(産業医の立場から)」 今井鉄平 先生
▶特別講演 未定
(2-4)第27回 平成29年秋
会場 未定
担当 第2地区 小林明文先生 共催 大日本住友製薬?
※大日本住友製薬の加入あり(NASH治療薬オベチコール酸製剤の発売予定あり)
共催メーカは4社(MSD、EAファーマ、ブリストルマイヤーズ、大日本住友)となった。
案内に社名を載せないでほしいとの希望あり(MSD)
※カラー印刷のパンフレットをカラーコピーに変更しコスト圧縮をはかった。
※第29回 平成30年秋の開催はどうするか?
第32回日本臨床内科医学会(9月神奈川)に合流するか?
(3)ウイルス肝炎患者掘り起こし事業
(5-1)横浜内科学会肝疾患管理病診連携ガイド(永井一毅先生主導)データをさらに収集していく
(5-2)市民公開講座 積極的に開催を企画する(新聞社との協賛も考慮する)
(5-1)横浜内科学会肝疾患管理病診連携ガイド(永井一毅先生主導)データをさらに収集していく
(5-2)市民公開講座 積極的に開催を企画する(新聞社との協賛も考慮する)
(4)肝炎対策委員会編集による肝疾患についての書籍の企画(資料3)
神奈川県内科医学会50周年記念企画のひとつとして出版予定。
神奈川県内科医学会50周年記念企画のひとつとして出版予定。
第32回日本臨床内科医学会 平成30年9月15日(土)~17日(月祝)パシフィコ横浜
での配布をめざして内容を検討していく。
※市販が可能な書籍をめざす。
※実臨床でよく遭遇する肝疾患について、最先端の内容を盛り込みつつ、
非専門の臨床医にわかりやすい記載をこころがける。
※執筆分担(案)
C型肝炎 多羅尾、藤井
B型肝炎 峯、宮本
NAFLD/NASH 斉藤、岡
原発性胆汁性胆管炎(PBC) 永井
自己免疫性肝炎(AIH) 髙山
薬剤性肝障害(DILI) 池田
肝不全 松本、小林
肝がん 中澤、中野
※現在シリーズで刊行中の「これだけは知っておきたいC型・B型肝炎の知識」に
さらに肉付けして2倍程度に膨らませた分量で計画したい。
※執筆者の選定はこれから考慮していく
(5)その他
4.次回開催 平成29年 月 日 ( ) 19:30~
(資料1)
湯山薫弁護士、服部功志弁護士による講演の企画
(平成27年12月1日 火 第3回肝炎対策委員会議事録より)
最初に中山名誉会長より、両弁護士の紹介と講演会の企画についての趣旨について説明あり、つづいて、湯山・服部両弁護士より講演の企画内容についてお話があった。
「薬害C型肝炎(フィブリノゲン製剤の使用による)事件とその被害者の救済活動のかたわら今後、どのようにして薬害の再発を防いでいくかという活動に取り組んでいる。そのために医師に求められていることは何かということを伝える機会が得られればうれしい」
※単に肝炎対策の範囲にとどまらず、幅広く薬害の実態について知り、今後不幸な患者を生み出さないために、われわれ医師が知っておかなければならないことを学ぶよい機会ではないかと感じた。講演の企画内容も豊富で十分な講演時間を取る必要があると思われた。そのためには肝炎対策委員会のみでなく、たとえば医薬品評価検討委員会などと協働して、より神奈川県内科医学会の本体に近い位置で講演会が企画されることが望ましいと思われる。
湯山 薫 弁護士
|
服部功志 弁護士
|
s35 東京生まれ s58 慶応大学法学部卒 s58~h12 株式会社マクニカ勤務 h17 司法研修所入所(第60期司法修習生) h19 弁護士登録
日弁連 両性平等委員会委員
両性平等部会委員
横浜弁護士会刑事弁護センター運営委員会委員
自由法曹団女性部事務局長
薬害肝炎東京弁護団神奈川支部事務局長
日弁連 国内人権機関実現委員会委員
川崎市男女共同参画センター運営委員会委員
横浜弁護士会川崎支部執行部幹事
|
s51 神奈川県生まれ h12 明治大学法学部卒 h18 明治大学大学院法務研究科法務専攻(法科大学院)
専門職学位課程修了
h19 司法研修所入所(第61期司法修習生)h20 弁護士登録(東京弁護士会) すずかけ法律事務所入所 h27 横浜弁護士会へ登録換え 清和総合法律事務所設立 |
(資料2)
第25回「肝臓病を考える病診連携の会」 第101回さがみリバーカンファレンス
(資料3)
「これだけは知っておきたいB型肝炎C型肝炎の知識」(平成27年改訂版)のテーマと執筆者(敬称略)
【C型肝炎】 1.HCV抗体陽性時の対処の仕方 多羅尾 2.HCV感染でALT正常ならば肝がんは発生しないか 多羅尾 3.C型慢性肝炎とC型肝硬変の簡便な臨床鑑別診断法 多羅尾 4.最近のC型慢性肝炎のインターフェロン療法 岡 5.インターフェロン不適格とは 永井 6.経口薬のみによるC型慢性肝炎治療 永井 【B型肝炎】 7.B型肝炎ウイルス感染におけるe抗原・e抗体測定の意義 高山 8.B型慢性肝炎、肝硬変症の最新の治療法 峯 9.B型肝炎ウイルス再活性化と免疫抑制・化学療法との関係 中野 10.B型肝炎関連抗原抗体系測定における保険請求上の注意 小林 【肝がん】 11.臨床医の肝がん早期発見のために 多羅尾 12.C型肝炎治療後の肝臓がん発症リスクをどう考えるか 多羅尾 13.B型肝炎ウイルス感染による肝発癌とHBV-DNAとの関係 藤井 14.B型・C型慢性肝炎、肝硬変症における肝がん発生率について 宮本 【その他の話題】 15.肝炎ウイルスを排除できない慢性肝炎・肝硬変症への対応 多羅尾 16.神奈川県における肝炎治療の医療費助成制度 岡
2016年10月23日日曜日
日本臨床内科医学会 教育講演1「頭痛大学~頭痛の総括的理解~」温知会間中病院院長 間中信也先生 2016.10.9
日本臨床内科医学会 教育講演1「頭痛大学~頭痛の総括的理解~」
温知会間中病院院長 間中信也先生
頭痛の多くは慢性頭痛で心配ないものだが、危険な頭痛を見逃さないために一次性(慢性)と二次性(症候性)の鑑別のためのABCDE診断を行うことである。Acute初めての頭痛は症候性を疑う。Bind普段から頭痛があるが今回はいつもと違う頭痛は症候性の可能性あり。Chronicいつもの頭痛は慢性頭痛。Daily慢性連日性の頭痛は心療内科的要素が大きい。Excess鎮痛剤を連日服用の場合は薬剤の使用過多による頭痛(MOH: Medication Overuse Headache)を考える。
慢性頭痛には片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛がある。片頭痛の診断は(a)発作5回以上(b)4~72時間(c)片側性・拍動性・重度・動作増悪のうち2項目(d)悪心嘔吐・光音過敏のいずれか(e)他の疾患なしを満たせば診断できる。治療はトリプタン。重症の場合は予防治療を行う。緊張型頭痛は頭重に相当する頭痛である。群発頭痛は一側眼窩部の短時間だが極めて激しい頭痛発作が1~2ヶ月連日出現する特徴的な頭痛で、酸素吸入が有効である。
普段と異なる頭痛は症候性を疑う。くも膜下出血の軽症例は一般外来に歩いて受診することがある。最近、爆発的な雷鳴頭痛の原因として可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS: Reversible Cerebral Vasoconstriction Syndrome)が注目されている。
詳細は頭痛診療トータルマネジメントブックhttps://www.dropbox.com/s/qsj6f2nifobmpe4/Headache.pdfを参照されたい。
温知会間中病院院長 間中信也先生
頭痛の多くは慢性頭痛で心配ないものだが、危険な頭痛を見逃さないために一次性(慢性)と二次性(症候性)の鑑別のためのABCDE診断を行うことである。Acute初めての頭痛は症候性を疑う。Bind普段から頭痛があるが今回はいつもと違う頭痛は症候性の可能性あり。Chronicいつもの頭痛は慢性頭痛。Daily慢性連日性の頭痛は心療内科的要素が大きい。Excess鎮痛剤を連日服用の場合は薬剤の使用過多による頭痛(MOH: Medication Overuse Headache)を考える。
慢性頭痛には片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛がある。片頭痛の診断は(a)発作5回以上(b)4~72時間(c)片側性・拍動性・重度・動作増悪のうち2項目(d)悪心嘔吐・光音過敏のいずれか(e)他の疾患なしを満たせば診断できる。治療はトリプタン。重症の場合は予防治療を行う。緊張型頭痛は頭重に相当する頭痛である。群発頭痛は一側眼窩部の短時間だが極めて激しい頭痛発作が1~2ヶ月連日出現する特徴的な頭痛で、酸素吸入が有効である。
普段と異なる頭痛は症候性を疑う。くも膜下出血の軽症例は一般外来に歩いて受診することがある。最近、爆発的な雷鳴頭痛の原因として可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS: Reversible Cerebral Vasoconstriction Syndrome)が注目されている。
詳細は頭痛診療トータルマネジメントブックhttps://www.dropbox.com/s/qsj6f2nifobmpe4/Headache.pdfを参照されたい。
2016年10月22日土曜日
プロコフィエフ(1891~1953) 交響曲 第6番 変ホ短調 作品111 (約41分) NHK交響楽団
国外で活躍していたプロコフィエフが祖国に完全帰国したのは、ショスタコーヴィチの《オペラ「ムツェンスクのマクベス夫人」》が共産党機関紙『プラウダ』紙上で批判され、大粛清が頂点に達した1936年である。とはいえプロコフィエフが政治的に盲目でなかったことは、彼が帰国後から積極的にスターリンや共産党を讃美する作品を折に触れて発表したことからも推察される。そして彼が待ち望んだ栄誉をようやく手にしたのは、1945年3月3日、ドイツ軍のレニングラード(現サンクトペテルブルク)敗退に全モスクワが沸き立つ日に、自ら初演した《交響曲第5番》の成功によってであった。モダニズム時代の斬新(ざんしん)な曲想と、体制側が求める楽観的で英雄的な様式を絶妙にブレンドしたこの作品で、プロコフィエフはスターリン賞第1席を授与された。
つづく《第6番》は終戦直前にスケッチが開始され1947年2月に完成、ムラヴィンスキーの指揮で10月にレニングラード、12月にモスクワで初演され、各地で予想を上回る成功を収めたが、これがプロコフィエフ最後の栄光となった。戦時中に緩められたイデオロギー統制を再び引き締める動きはすでに他の分野で進行していたが、1948年2月にはついに音楽にも及び、指導的作曲家のほとんどが戦時中の創作を批判された。むろん、プロコフィエフも例外ではない。《交響曲第6番》はレニングラード初演からわずか4か月で演奏レパートリーから消え、生前、作曲者が耳にすることは二度となかったのである。
当初から、この交響曲の陰鬱(いんうつ)で晦渋(かいじゅう)な表情は批評家を当惑させた。戦時中の英雄的な闘いを描いた前作に対して、《第6番》を戦争の不安や悲しみに焦点を当てた作品と解釈することも多いが、むしろ作曲家がレニングラード初演の前日に第2の妻ミーラ・メンデリソンに語った次の言葉が示唆的であろう。フィナーレの終結部に唐突に挿入される不協和音についてである。「(フィナーレでの)永遠に対して投げかけられた疑問に注意を向けてくれたかい?」──その後、プロコフィエフはこれが「人生の目的に関わる疑問のひとつ」であることを明かしたという。この言葉を敷衍(ふえん)すれば、この曲が表現しているのは、具体的な戦争体験が昇華された人間の生と死に関わるより普遍的で哲学的な問いということになろうか。この交響曲の謎めいた相貌(そうぼう)の奥には、激動の時代を生きた人間の真摯(しんし)な思索の跡が刻み込まれている。
第1楽章 アレグロ・モデラート、変ホ短調、6/8拍子、3つの主題によるソナタ形式。低音の金管による謎めいた序奏につづき、ロシア民謡風の第1主題が弦楽器で提示され、様々な楽器で反復された後、オーボエによる孤独な表情の第2主題が奏される。どちらも暗い叙情性を湛(たた)えた旋律で、あらためてプロコフィエフがロシアの作曲家であることを再認識させられる。第3主題はピアノとファゴットの刻む行進曲風のリズムを伴って現れ、ようやく希望の兆しを伺わせるが、展開部では第1主題の緊密な動機労作によって容赦なく歩みを進め、モダニズム時代のプロコフィエフを彷彿(ほうふつ)させる壮絶なクライマックスにいたる。彼はこの後ホルンが奏する「喘息(ぜんそく)の喘(あえ)ぎ声」のようなパッセージに対して特別の注意を喚起したという。
第2楽章 ラルゴ、変イ長調、4/4拍子、ソナタ形式。異様な熱気に満ちた序奏につづき、第1主題がヴァイオリンとトランペットで、第2主題(属調の変ホ長調)はチェロとファゴットにより提示される。引き続き両主題が短く展開された後、ホルン四重奏やハープとチェレスタのアンサンブル等、《バレエ音楽「ロメオとジュリエット」》の「バルコニーの場面」を彷彿させる印象的なエピソードを経て、第2主題から第1主題の順に再現される。
第3楽章 ヴィヴァーチェ、変ホ長調、2/4拍子、ロンド・ソナタ形式。この形式を得意とするプロコフィエフの面目躍如とした音楽であり、特にハイドン風のロンド主題と行進曲風のエピソード主題が重なり合う展開部の躍動感は圧巻である。ところが、音楽はいつしか第1楽章第2主題の孤独なつぶやきに道を譲り、やがてロンド主題の一部を拡大した動機を全オーケストラが絶叫する痛切なクライマックスに至る。あまりにも断絶した表情の落差を埋めることなく、冷徹なリズムと不協和音が最後へと煽(あお)り立てる。
作曲年代:1944年からスケッチ開始、1947年2月完成
初演:1947年10月10日、ムラヴィンスキー指揮、レニングラード・フィルハーモニー交響楽団、レニングラード(現サンクトペテルブルク)にて
つづく《第6番》は終戦直前にスケッチが開始され1947年2月に完成、ムラヴィンスキーの指揮で10月にレニングラード、12月にモスクワで初演され、各地で予想を上回る成功を収めたが、これがプロコフィエフ最後の栄光となった。戦時中に緩められたイデオロギー統制を再び引き締める動きはすでに他の分野で進行していたが、1948年2月にはついに音楽にも及び、指導的作曲家のほとんどが戦時中の創作を批判された。むろん、プロコフィエフも例外ではない。《交響曲第6番》はレニングラード初演からわずか4か月で演奏レパートリーから消え、生前、作曲者が耳にすることは二度となかったのである。
当初から、この交響曲の陰鬱(いんうつ)で晦渋(かいじゅう)な表情は批評家を当惑させた。戦時中の英雄的な闘いを描いた前作に対して、《第6番》を戦争の不安や悲しみに焦点を当てた作品と解釈することも多いが、むしろ作曲家がレニングラード初演の前日に第2の妻ミーラ・メンデリソンに語った次の言葉が示唆的であろう。フィナーレの終結部に唐突に挿入される不協和音についてである。「(フィナーレでの)永遠に対して投げかけられた疑問に注意を向けてくれたかい?」──その後、プロコフィエフはこれが「人生の目的に関わる疑問のひとつ」であることを明かしたという。この言葉を敷衍(ふえん)すれば、この曲が表現しているのは、具体的な戦争体験が昇華された人間の生と死に関わるより普遍的で哲学的な問いということになろうか。この交響曲の謎めいた相貌(そうぼう)の奥には、激動の時代を生きた人間の真摯(しんし)な思索の跡が刻み込まれている。
第1楽章 アレグロ・モデラート、変ホ短調、6/8拍子、3つの主題によるソナタ形式。低音の金管による謎めいた序奏につづき、ロシア民謡風の第1主題が弦楽器で提示され、様々な楽器で反復された後、オーボエによる孤独な表情の第2主題が奏される。どちらも暗い叙情性を湛(たた)えた旋律で、あらためてプロコフィエフがロシアの作曲家であることを再認識させられる。第3主題はピアノとファゴットの刻む行進曲風のリズムを伴って現れ、ようやく希望の兆しを伺わせるが、展開部では第1主題の緊密な動機労作によって容赦なく歩みを進め、モダニズム時代のプロコフィエフを彷彿(ほうふつ)させる壮絶なクライマックスにいたる。彼はこの後ホルンが奏する「喘息(ぜんそく)の喘(あえ)ぎ声」のようなパッセージに対して特別の注意を喚起したという。
第2楽章 ラルゴ、変イ長調、4/4拍子、ソナタ形式。異様な熱気に満ちた序奏につづき、第1主題がヴァイオリンとトランペットで、第2主題(属調の変ホ長調)はチェロとファゴットにより提示される。引き続き両主題が短く展開された後、ホルン四重奏やハープとチェレスタのアンサンブル等、《バレエ音楽「ロメオとジュリエット」》の「バルコニーの場面」を彷彿させる印象的なエピソードを経て、第2主題から第1主題の順に再現される。
第3楽章 ヴィヴァーチェ、変ホ長調、2/4拍子、ロンド・ソナタ形式。この形式を得意とするプロコフィエフの面目躍如とした音楽であり、特にハイドン風のロンド主題と行進曲風のエピソード主題が重なり合う展開部の躍動感は圧巻である。ところが、音楽はいつしか第1楽章第2主題の孤独なつぶやきに道を譲り、やがてロンド主題の一部を拡大した動機を全オーケストラが絶叫する痛切なクライマックスに至る。あまりにも断絶した表情の落差を埋めることなく、冷徹なリズムと不協和音が最後へと煽(あお)り立てる。
作曲年代:1944年からスケッチ開始、1947年2月完成
初演:1947年10月10日、ムラヴィンスキー指揮、レニングラード・フィルハーモニー交響楽団、レニングラード(現サンクトペテルブルク)にて
(千葉 潤)
2016年10月21日金曜日
神奈川県内科医学会第5回肝炎対策委員会議題 2016.10.25
神奈川県内科医学会 第5回肝炎対策委員会
日時 平成28年10月25日(火)19:30~ 場所 神奈川県総合医療会館1階会議室A
1.開会
2.挨拶
3.議題
(1)平成29年新春学術講演会の企画
平成29年1月19日(木)19:30~ 横浜ベイシェラトンホテル&タワーズにて
平成29年1月19日(木)19:30~ 横浜ベイシェラトンホテル&タワーズにて
医薬品評価検討委員会と肝炎対策委員会合同で企画 共催メーカー Abbvie合同会社
開会 宮川会長
特別発言 中 佳一名誉会長(変更あり、依頼すみ)
講演1 「これからのC型肝炎治療」 座長 岡委員長
講師
横浜市立大学附属市民総合医療センター 消化器内科教授 田中克明先生(依頼すみ)
講演2 未定(薬害肝炎訴訟に学ぶ
医薬品の適正使用のあり方について)座長 湯浅委員長
講師
川崎北合同法律事務所 湯山 薫 弁護士(依頼すみ)
講師
清和総合法律事務所 服部功志 弁護士(依頼すみ)
閉会 出川副会長 あるいは 金森副会長
情報交換会
※講演2の打ち合わせ会 平成28年11月21日(月)19:45~ 神奈川県総合医療会館にて(資料1)
湯山弁護士、服部弁護士
、宮川会長、湯浅、岡 出席予定
(2)肝臓病を考える病診連携の会~肝がん撲滅を目指して~の進捗
(2-1)第24回 平成28年6月11日(土)
会場 平塚プレジール
会場 平塚プレジール
〒254-0811 神奈川県平塚市八重咲町 3-8(JR東海道線平塚駅南口 徒歩1分)
担当 第4地区 高山医院 高山秀明 先生 共催:EAファーマ
▶一般演題1「DAA治療後のフォローアップの重要性」
▶一般演題1「DAA治療後のフォローアップの重要性」
平塚市民病院消化器内科部長 坂口隆先生
▶一般演題2「ソラフェニブにて巨大シャントが消褪しTACEが可能となった症例」
藤沢市民病院消化器内科 露木翔先生
▶特別講演「C型慢性肝炎の過去から未来」(演者交代)
東海大学医学部内科学系消化器内科学准教授
肝疾患医療センター長 加川 建弘 先生 (かがわ たてひろ)
(2-2)第25回 平成28年11月19日(土)(資料2)
会場 相模原南メディカルセンター大会議室
〒232-0303相模原市南区相模大野4-4-1グリーンホール相模大野内 TEL042-749-2101
担当 第5地区 中野史郎 先生 共催:ブリストルマイヤーズ
一般演題座長 相模原医師会 沓掛伸二 先生
▶一般演題1「未定」
相模原協同病院診療部 臨床研修医 河本千尋 先生
▶一般演題2「巨大胃静脈瘤に対してNBCAにて逆行性塞栓術を施行した一例」
北里大学医学部 消化器内科学 中谷征己 先生
▶特別講演
座長 北里大学医学部消化器内科学講師 日高 央 先生 (ひだか ひさし)
「C型肝炎治療Update(仮)」
北里大学医学部 消化器内科学助教 魚嶋晴紀 先生
(2-3)第26回 平成29年6月10日または17日または24日(土曜日)
会場 TKPガーデンシティ横浜
横浜市神奈川区金港町3-1コンカード横浜 TEL045-450-6317
担当 第1地区 岡 正直 共催 MSD
▶一般演題
(仮)隠れている肝炎患者を掘り起こすために(企業の健康管理の現場から)
▶特別講演 未定
(2-4)第27回 平成29年秋
会場 未定
担当 第2地区 小林明文先生 共催 大日本住友製薬?
※大日本住友製薬の加入あり(NASH治療薬オベチコール酸製剤の発売予定あり)
共催メーカは4社(MSD、EAファーマ、ブリストルマイヤーズ、大日本住友)となった。
案内に社名を載せないでほしいとの希望あり(大日本住友製薬)
※カラー印刷のパンフレットをカラーコピーに変更しコスト圧縮をはかった。
※第29回 平成30年秋の開催はどうするか?
第32回日本臨床内科医学会(9月神奈川)に合流するか?
(3)ウイルス肝炎患者掘り起こし事業
(5-1)横浜内科学会肝疾患管理病診連携ガイド(永井一毅先生主導)データをさらに収集していく
(5-2)市民公開講座 積極的に開催を企画する(新聞社との協賛も考慮する)
(5-1)横浜内科学会肝疾患管理病診連携ガイド(永井一毅先生主導)データをさらに収集していく
(5-2)市民公開講座 積極的に開催を企画する(新聞社との協賛も考慮する)
(4)肝炎対策委員会編集による肝疾患についての書籍の企画(資料3)
神奈川県内科医学会50周年記念企画のひとつとして出版予定。
神奈川県内科医学会50周年記念企画のひとつとして出版予定。
第32回日本臨床内科医学会 平成30年9月15日(土)~17日(月祝)パシフィコ横浜
での配布をめざして内容を検討していく。
※市販が可能な書籍をめざす。
※実臨床でよく遭遇する肝疾患について、最先端の内容を盛り込みつつ、
非専門の臨床医にわかりやすい記載をこころがける。
※取り上げる内容は
C型肝炎
B型肝炎
NAFLD・NASH
原発性胆汁性胆管炎(PBC)
自己免疫性肝炎(AIH)
薬剤性肝障害(DILI)
肝不全
肝がん
※現在シリーズで刊行中の「これだけは知っておきたいC型・B型肝炎の知識」に
さらに肉付けして2倍程度に膨らませた分量で計画したい。
※執筆者の選定はこれから考慮していく
(5)その他
4.次回開催 平成29年 月 日 ( ) 19:30~
(資料1)
湯山薫弁護士、服部功志弁護士による講演の企画
(平成27年12月1日 火 第3回肝炎対策委員会議事録より)
最初に中山名誉会長より、両弁護士の紹介と講演会の企画についての趣旨について説明あり、つづいて、湯山・服部両弁護士より講演の企画内容についてお話があった。
「薬害C型肝炎(フィブリノゲン製剤の使用による)事件とその被害者の救済活動のかたわら今後、どのようにして薬害の再発を防いでいくかという活動に取り組んでいる。そのために医師に求められていることは何かということを伝える機会が得られればうれしい」
※単に肝炎対策の範囲にとどまらず、幅広く薬害の実態について知り、今後不幸な患者を生み出さないために、われわれ医師が知っておかなければならないことを学ぶよい機会ではないかと感じた。講演の企画内容も豊富で十分な講演時間を取る必要があると思われた。そのためには肝炎対策委員会のみでなく、たとえば医薬品評価検討委員会などと協働して、より神奈川県内科医学会の本体に近い位置で講演会が企画されることが望ましいと思われる。
湯山 薫 弁護士
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服部功志 弁護士
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s35 東京生まれ s58 慶応大学法学部卒 s58~h12 株式会社マクニカ勤務 h17 司法研修所入所(第60期司法修習生) h19 弁護士登録
日弁連 両性平等委員会委員
両性平等部会委員
横浜弁護士会刑事弁護センター運営委員会委員
自由法曹団女性部事務局長
薬害肝炎東京弁護団神奈川支部事務局長
日弁連 国内人権機関実現委員会委員
川崎市男女共同参画センター運営委員会委員
横浜弁護士会川崎支部執行部幹事
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s51 神奈川県生まれ h12 明治大学法学部卒 h18 明治大学大学院法務研究科法務専攻(法科大学院)
専門職学位課程修了
h19 司法研修所入所(第61期司法修習生)h20 弁護士登録(東京弁護士会) すずかけ法律事務所入所 h27 横浜弁護士会へ登録換え 清和総合法律事務所設立 |
(資料2)
第25回「肝臓病を考える病診連携の会」 第101回さがみリバーカンファレンス
(資料3)
「これだけは知っておきたいB型肝炎C型肝炎の知識」(平成27年改訂版)のテーマと執筆者(敬称略)
【C型肝炎】 1.HCV抗体陽性時の対処の仕方 多羅尾 2.HCV感染でALT正常ならば肝がんは発生しないか 多羅尾 3.C型慢性肝炎とC型肝硬変の簡便な臨床鑑別診断法 多羅尾 4.最近のC型慢性肝炎のインターフェロン療法 岡 5.インターフェロン不適格とは 永井 6.経口薬のみによるC型慢性肝炎治療 永井 【B型肝炎】 7.B型肝炎ウイルス感染におけるe抗原・e抗体測定の意義 高山 8.B型慢性肝炎、肝硬変症の最新の治療法 峯 9.B型肝炎ウイルス再活性化と免疫抑制・化学療法との関係 中野 10.B型肝炎関連抗原抗体系測定における保険請求上の注意 小林 【肝がん】 11.臨床医の肝がん早期発見のために 多羅尾 12.C型肝炎治療後の肝臓がん発症リスクをどう考えるか 多羅尾 13.B型肝炎ウイルス感染による肝発癌とHBV-DNAとの関係 藤井 14.B型・C型慢性肝炎、肝硬変症における肝がん発生率について 宮本 【その他の話題】 15.肝炎ウイルスを排除できない慢性肝炎・肝硬変症への対応 多羅尾 16.神奈川県における肝炎治療の医療費助成制度 岡
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