2012年5月31日木曜日

第16回肝臓病を考える病診連携の会 ~肝がん撲滅を目指して~

第16回肝臓病を考える病診連携の会 ~肝がん撲滅を目指して~
謹啓
新緑の候 、皆様におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。 
さてこの度、下記の日程にて肝臓病を考える病診連携の会を開催させて頂くこととなりました。
皆様には、大変ご多忙のところ恐れ入りますが、ご出席賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
謹白

日 時:平成24年6月16日(土) 16:30~19:00   
場 所:TKPガーデンシティ横浜 カンファレンスルーム8   
〒221-0056
神奈川県横浜市神奈川区金港町3-1コンカード横浜2F
TEL: 045-450-6317
共催:肝臓病を考える病診連携の会/神奈川県内科医学会/味の素製薬株式会社,
ブリストル・マイヤーズ株式会社,田辺三菱製薬株式会社,MSD株式会社

最新情報 16:30~16:45
【リーバクト配合顆粒の最近の話題】
味の素製薬株式会社
16:45~16:50
開会挨拶 神奈川県内科医学会 会長 中 佳一 先生
16:50~17:50 一般演題
座長 岡内科クリニック 岡 正直 先生
Ⅰ .『PEG-IFN/RBV併用療法により多発性硬化症が顕性化したC型慢性肝炎の1例』

済生会横浜市南部病院 消化器内科 服部 純治 先生
Ⅱ .『ナイフによる外傷性肝内血腫の一例:病診連携での経過観察例』 
永井医院  永井 一毅 先生
17:55~18:55 特別講演
座長 たらお内科消化器科 多羅尾 和郎先生
『肝臓病のプライマリケアと病診連携~肝機能検査を中心に~』
済生会神奈川県病院 消化器内科 副院長 山室 渡 先生
18:55~19:00
閉会挨拶 神奈川県内科医学会肝炎対策委員長
肝臓病を考える病診連携の会代表世話人 宮本 京 先生


※当日は参加費として1,000円を徴収させていただきます。また軽食をご用意しております。
※なお、この講演会は日本医師会生涯教育講座2.5単位(8.10.13.15.73)として認定されています。

今回のテーマは「肝臓病の病診連携」です。
肝臓病は症状が表にあらわれにくいため、
おかしいと思った時には、すでに取り返しのつかない
事態になっていることが多いものです。
特別講演の「肝臓病のプライマリケアと病診連携」は
日常診療での絶対外せないポイントを押さえる
ことができるまたとないチャンスです。
肝臓病非専門の先生がた、必聴の内容です。
一般演題Ⅰは、インターフェロン治療中に
神経疾患が顕性化した興味深い症例、
一般演題Ⅱは人気のリゾート地での恐怖体験から
始まる、病診連携が真価を発揮した症例です。
多くの先生方のご参加をお待ちしています。
【会場のご案内】
電車:JR東海道線、横須賀線、京浜東北線東京急行東横線 ・京浜急行本線
各線共通 「横浜駅」きた東口 A出口より徒歩5分
<講演会会場マップ>

2012年5月25日金曜日

学会の動き(神奈川県内科医学会の動向)神内医ニュース68号 学術1部会部会長 岡 正直

学会の動き(神奈川県内科医学会の動向)神内医ニュース68号 学術1部会部会長 岡 正直
 神奈川県内科医学会学術1部会が企画担当している講演会は、定時総会時学術講演会、臨床医学研修講座、秋季学術大会、新年学術大会そして集談会の5つです。
【平成24年新年学術大会報告】
 平成24年新年学術大会が、2012年1月19日(木)18時45分から21時まで、横浜駅西口前の横浜ベイシェラトン&タワーズ5階「日輪」にて開催されました。テーマは「喘息死ゼロへの挑戦」です。
 呼吸器疾患対策委員会副委員長の小野容明先生が座長をされた基調講演「患者吸入指導のコツと吸入デバイス操作法のピットホール」は、東濃中央クリニック院長 大林浩幸先生にお話しいただきました。また、呼吸器疾患対策委員会委員長の西川正憲先生が座長をされた特別講演「喘息治療のup to date」は、杏林大学呼吸器内科主任教授 滝澤始先生にお話しいただきました。
以下に講演の簡単な内容を記します。
 講演1「患者吸入指導のコツと吸入デバイス操作のピットホール」
 気管支喘息治療において、吸入ステロイド薬は第1選択薬であり、慢性閉塞性肺疾患(COPD)では、長時間作用性の抗コリン薬やβ2刺激薬の吸入が、治療の主軸となっている。期待した臨床効果を得るには、薬剤が気道の炎症部位に有効に吸入送達される必要がある。しかし、吸入時に吸入器具(デバイス)の様々な誤操作(ピットホール)が生じ、薬剤を吸えないことがしばしばある。それが患者のアドヒアランスを損なう原因にもなっている。日常診療で生じる“ピットホール”の原因を解説し、“ピットホール”の実例を示し、患者にとって最良のデバイスを探す考え方や、短時間で行える効率的な吸入指導のやり方も考察した。さらに、岐阜県の東濃喘息対策委員会での認定吸入指導薬剤師制度設置の試みも紹介した。
 講演2「気管支喘息の治療up to date」
 気管支喘息はわが国で小児の5-6%成人の約3%と推定されるcommon diseaseである。かつて気道閉塞発作を繰り返す機能的疾患と思われていたが、非特異的気道過敏性が最も重要な呼吸生理学的特長であることが明らかになり、アレルギー性気道炎症の存在が重視されるようになった。近年では気道リモデリングや末梢気道病変も重視されてきている。
 以上の認識に伴い副腎皮質ステロイド吸入薬が登場した。最も強力な抗炎症作用があり、アレルギー性気道炎症や非特異的気道過敏性を著明に改善する。各国でその使用が増えるに従い喘息死が減少してきた。現在厚労省は関連諸団体と協力し「喘息死ゼロ作戦」を展開している。
 喘息有症率増加、喘息死高齢化、難治性喘息例など残された課題は多い。最近、喫煙、高齢者、肥満、アスピリン不耐性などの重症化因子や、気道リモデリング、末梢気道病変に加え、好中球や気道平滑筋細胞の重要性が注目されている。
 近未来には、吸入ステロイドを主役としつつも、アレルギー型重症例でのヒト化抗IgE抗体製剤のような個別化治療に進むであろう。またサイトカインを標的とした生物学的製剤や、気道リモデリング抑制薬の開発も進行中である。アレルギー疾患の発症自体を予防する免疫療法の進歩が期待されている。
 新年学術大会は2つの講演が互いに関係する分野の話となるよう企画され、テーマの内容について深く掘り下げた理解が得られるまたとない絶好のチャンスです。
【第75回集談会報告】
 第75回集談会が2012年2月18日(土)15時から18時30分まで小田急本線本厚木駅北口より徒歩5分のレンブラントホテル厚木(もとロワジールホテル)にて第5地区厚木内科医会の主管で開催されました。33題の一般演題の発表が3つの会場で並行して(1会場はポスター展示で)行われ、活発なディスカッションが持たれました。一般演題と特別講演の進行と並行して、ポスター会場にて頸動脈エコー、血圧脈波検査、骨塩定量も行われました。休憩コーナーではコーヒーやスナックもふるまわれました。17時30分からの特別講演は「腎障害を伴う高血圧治療」を埼玉医科大学腎臓内科教授の鈴木洋通先生にお話しいただきました。以下に講演の簡単な内容を記します。
 慢性腎臓病における血管病の進展は、血圧、容量負荷、RA系の亢進だけでなく、カルシウム・リン代謝異常による血管の石灰化や血管内皮障害・酸化ストレス・高血糖・脂質異常が複合して血管系の変化を起こし、収縮期血圧の上昇・冠血流低下・左室肥大から心血管障害となり死亡に至るという流れである。
 腎障害者は昼間立位をとっているときは腎血流の低下によりナトリウム貯留がすすみ血圧も上昇するが、就寝し臥位をとることによって腎血流の上昇とナトリウム排泄が増え血圧も低下傾向となる。よって腎障害者は夜間頻尿を訴えることが多いのである。また、腎障害者は早朝の高血圧を示すことが多いのも特徴的である。高血圧は腎障害を悪化させるため、血圧が高い症例では、降圧効果の強いCCBが第一選択となる。
 日本で一番多いIgA腎症では、血圧を厳格に管理することによって腎機能低下を防ぐことができる。
 早朝の血圧のコントロールは重要な意味をもつ。早朝血圧を下げることにより心機能の改善が期待できる。早朝の収縮期血圧が130 より高いとGFRの悪化がみられる。外来血圧はあてにならないことが多く、家庭血圧測定の重要さが注目されている。糖尿病者では朝の収縮期血圧が130強で腎機能低下をきたす。
 高血圧によって若年者の腎機能低下は早く進むが、高齢者の場合はゆっくりであるため、高齢者の収縮期血圧のコントロールは140程度でよいのではないか。
 最近心臓腎臓の同時不全例が増加している。心機能の悪い人は120/75のより低い血圧コントロールにしたほうが、心機能改善効果がみられるが、心腎不全により血圧がすでに低下している場合は治療が難しい。
 慢性腎臓病(CKD)Stage4,5の人はRA系の降圧薬を半量にすること。蛋白尿が多い場合、ACEIにARBの追加処方は有効である。ARBは腎機能の改善や腎でのインスリン代謝改善(糖尿病の発症抑制)などの働きを介して、心血管病変を減少させていると考えられる。
 心血管の状態を知るためには、血圧測定のみならず、腎機能・尿蛋白・貧血・カルシウムリン代謝・糖代謝などの情報にも注意して診療することが重要である。
 豊富な臨床データの分析を交えながら、明日からの日常診療に役立つ情報をお示しいただきました。
 18時35分からの懇親会では厚木内科医会幹事の今岡千栄美先生による素晴らしいオペラ歌唱に深い感銘を受け、引き続きハーモニカの聖地と言われる厚木ならではの多彩なハーモニカにより編成されたオーケストラによる本格的な楽曲の演奏に圧倒されつつ、次回の担当の第1地区横浜内科学会副会長小野容明先生の挨拶もあり、盛会のうちに終了いたしました。
【平成24年度定時総会時学術講演会報告】
 平成24年度定時総会が、平成24年5月19日(土)午後に神奈川県総合医療会館にて開催され、引き続き16時30分より定時総会時学術講演会が行われました。
 従来、定時総会では各事業委員会の活動報告や2月の集談会での優秀演題2題の発表を行い、その後の学術講演会では最新の医療に関する特別講演を拝聴していました。その内容が極めて充実しているために、長時間の拘束時間が参加者の負担であったことも事実です。そこで今回の定時総会時学術講演会からは、2つの大きな変更が行われました。
 第1点は、今期より学術Ⅱの部会の事業委員会から「禁煙分煙推進委員会」と「ジェネリック問題対策委員会」を分離し、新設の「在宅医療委員会」とともに社会公益部会の事業委員会として、社会公益部会の活動報告を秋季学術大会に移動し、また集談会の優秀演題の発表も秋季学術大会に移動することにより、全体の時間の短縮を図りました。
 第2点は、総会および総会時講演会の企画運営に共催メーカーの関与をなくし、神奈川県内科医学会単独による開催としたことです。これによって、共催メーカーの利害に配慮することなく、会員の本当に聞きたい講演テーマを自由に設定できるようになりました。今回のテーマは「医事紛争に立ち向かう」です。
 学術Ⅱ部会の各事業委員会(糖尿病、肝炎、認知症、高血圧腎疾患、呼吸器疾患)の委員長および副委員長による活動報告(16:45-17:45)のあと、「医事紛争に立ち向かう」ための基調講演「医事紛争の現状と防止策」(18:00-18:40)が、神奈川県内科医学会副会長の高木敦司先生の座長、平沼髙明法律事務所の平沼髙明先生の講演により行われました。以下に講演の簡単な内容を記します。
 医事紛争は1960年代のアメリカにおける「消費者の権利」宣言以降続発し、その波が日本に襲来したもので、年々増加していたが、2005年をピークとして減少に転じた。
 医事紛争増加の背景は、「消費者主権主義」と「患者の自己決定権」という2つの流れによる。とくに重要な点は、医師患者間の信頼関係(人間関係)の崩壊、他の医師による不適切な批判、権利意識の拡大、損害賠償責任保険制度の発達などである。
 医事紛争防止対策としては、質の高い医療、診療記録の充実、患者の訴えをよく聴く、などである。
 平成11年に起こった横浜市大病院と都立広尾病院での重大事故を契機として、医療事故と刑事責任の問題が多発した。現行法下では刑事司法の「謙抑的行使」が望まれる。異状死の届出は警察署でなく厚労省のような行政庁にすべきである。刑法を改正して、医療事故に関しては故意に近い「重大な過失」に限り適応すべきである。
 基調講演のあとシンポジウム(18:40-19:20)が行われ、大病院の立場と開業医の立場からの二つのご講演をいただきました。
 まず東海大学医学部外科学系消化器外科教授/東海大学医学部付属病院医療監査部長の安田聖栄先生より「医療事故と医事紛争:大学病院での対策の現状」のご講演をいただきました。以下に講演の簡単な内容を記します。
 医療安全対策はこの10数年で大きく進歩した。1999年の横浜市立大学病院での手術患者取り違えや同年に発行の米国医学研究所の報告書以降、医療事故の頻度が高いことは共通認識となった。全国の病院ではインシデント/アクシデントレポート提出制度等により、個々の事例から医療事故防止策を検討することは一般的となった。当院では年間約5000件ものレポートが提出されている。中には一つ間違えば重大医療事故に発展しかねない事例もあり、院内医療安全活動の継続・発展は必須である。
診療の各現場は多忙である。診療の高度・複雑化、在院日数の短縮、制限されたスタッフ数、それと未完成の医療安全体制のもと、数多くの診療をこなすという状況下での有害事象発生時は、たとえ過誤が明らかでない場合でも、共感的態度でコミュニケーションを維持することを、各現場に定着させることが課題の一つである。
 当院では医療安全・医事紛争対応の専門部署として「医療監査部」がある。重大医療事故発生時は、院内「事例調査会」で当事者以外の第三者を含め、事実関係の詳細な調査を実施している。その結果「過誤あり」の場合は謝罪し、患者側の理解が得られるよう努めている。しかし「過誤なし」の場合でも、理解が得られない場合は、訴訟に発展する事例も生じる。
 以前は「医療安全」が学生教育で取り上げられなかったが最近は卒前教育の医学教育モデル・コア・カリキュラムで基本項目となっている。学生教育の内容を充実させることも新しい課題である。
 現行の医療安全対策では、医師は単なる医療の提供者になる危惧がある。医師は長い期間の修練によって培われた威厳があり、「医は仁術」の精神は保ちたい。今後は医療の当事者として積極的に社会に働きかけることが必要である。
 次に神奈川県内科医学会幹事/神奈川県医師会医事紛争特別委員会委員の正山堯先生より「開業医における医療事故の予防と事故発生時の対処法」のご講演をいただきました。以下に講演の簡単な内容を記します。
 個人医のもとでの医事紛争の件数は、病院における件数とほぼ同等であり、病院にある「医療事故調査委員会」や「チーム情報委員会」のような組織的対応ができず個人で対応しなければならない点は不利である。個人医の場合にも事故対策としての「医療安全管理体制」の早急な整備が望まれる。
 医療事故のうち医療者のミスによるものを医療過誤といい、さらに患者側との争いに発展したものを医事紛争と呼ぶ。患者の感情を害することによって医事紛争になることが多い。もはや医師中心の医療の時代は終わり、インフォームドコンセントにもとづく患者との共同作業が期待されている。また自分の手に負えないと思う患者は速やかに病院に紹介し、病診連携の上で治療を進めることである。特に大事なことは、患者の前で他の医師のことを決して批判してはならないこと、患者との対応に当たっては冷静を保ち、感情的にならないことである。
 事故発生時には3つの点に留意すること。過ちが明らかであれば責任謝罪を、そうでないときは共感謝罪を行うこと。患者の言い分をしっかり傾聴すること。また患者に分かりやすい説明に努めることである。不幸にして医師と患者間だけで解決がつかず、代理人を立てた紛争に発展しそうな場合は、神奈川県医師会事務局医療安全対策課を通じて神奈川県医師会医事紛争特別委員会に相談するのが最もよいと思う。
 2つの講演のあと合同討論(19:20-20:00)がコーディネータの高木敦司先生と演者の3先生を交えて活発に行われました。
 日々の診療行為のなかで決しておろそかにできない重要なポイントが数多く示され、恐ろしくもありますが、きわめて有用な講演会であったと思います。
【第37回臨床医学研修講座予告】
 第37回臨床医学研修講座が2012年10月20日(土)に横浜市立大学医学部市民総合医療センター(横浜市営地下鉄坂東橋駅最寄)にて横浜市立大学と横浜内科学会の主管で開催される予定です。当講座は大学の進んだ医療を開業医が学び、かつ大学の先生方との懇親の機会を持つために行われています。多くの先生方のご参加をお願い申し上げます。
【平成24年度秋季学術大会予告】
 平成24年度秋季学術大会が2012年11月17日(土)15時より、JR川崎駅前の「川崎日航ホテル」にて第2地区川崎市内科医会の主管で開催される予定です。以前この会は横浜市内で開催されておりましたが、横浜以外の県内各地域で開催したいとの声を受けて、2010年より持ち回りで県内各地で開催することになりました。また、今回より講演に先立って、社会公益部会の事業委員会報告と集談会の優秀演題の発表も行われることになっています。
 学術Ⅰ委員会は平成22年度まで部会長をされた伊藤正吾先生の後を引き継ぎ、平成23年度より新たな体制で活動を開始いたしました。平成24年度も中佳一会長のご指導のもと、今までの長い歴史のある講演会に新たな変更や発展を加えながら、5つの基本講演会を開催していきたいと思います。今後とも、神奈川県内科医学会本体事業である学術1部会の講演会開催にご協力とご参加をお願い申し上げます。

医療事故と医事紛争―大学病院での対策の現状―

医療事故と医事紛争―大学病院での対策の現状―

東海大学医学部附属病院副院長

医療監査部長、消化器外科教授

安田聖栄

医療安全対策はこの10数年で大きく進歩した。1999年の横浜市立大学病院での手術患者取り違え医療過誤、そして同年に発行された米国医学研究所(Institute of Medicine)の報告書「To Err is Human」以降、医療事故の頻度が高いことは共通認識となった。全国の病院ではインシデント/アクシデントレポート提出制度等により、個々の事例から医療事故防止策を検討することは一般的となった。当院では年間約5000件ものレポートが提出されている。中には一つ間違えば重大医療事故に発展しかねない事例もあり、院内医療安全活動の継続・発展は必須である。

診療の各現場は多忙である。診療の高度・複雑化、在院日数の短縮、制限されたスタッフ数、それと未完成の医療安全体制のもと、数多くの診療を行わざるをえない。この様な状況下で有害事象が発生することになるが、有害事象発生時は、たとえ過誤が明らかでない場合であっても、共感的態度でコミュニケーションを維持することを、各現場に定着させることが課題の一つである。

 当院では医療安全・医事紛争対応の専門部署として「医療監査部」(事務8名、看護師1名、薬剤師1名が専従)がある。重大医療事故発生時は、院内「事例調査会」で当事者以外の第三者を含め、事実関係の詳細な調査を実施している。その結果「過誤あり」の場合は謝罪し、患者さん・ご家族のご理解が得られるよう努めている。しかし「過誤なし」の場合でご理解が得られない場合は、やむなく訴訟に発展する事例も生じる。

 10数年前には「医療安全」が学生教育で取り上げられることはなかった。最近は卒前教育の医学教育モデル・コア・カリキュラムで「医療安全」は基本項目でとりあげられている。学生教育の内容を充実させることも新しい課題となった。

 現行の医療安全対策では、医師は単なる医療の提供者(provider)の位置づけになる危惧がある。医師は長い期間の修練によって培われてきた威厳(dignity)があり、「医は仁術」の精神は保ちたい。今後は医療の当事者として積極的に社会に働きかけることが必要である。

開業医における医療事故の予防と事故発生時の対応

2012年5月10日木曜日

神奈川県内科医学会平成24年度定時総会時学術講演会


神奈川県内科医学会

平成24年度定時総会時学術講演会

日本医師会生涯教育講座 2単位

カリキュラムコード: 1(専門職としての使命感)2(継続的な学習と臨床能力の保持)

7(医療制度と法律)8(医療の質と安全)

日時   平成24519日 ()  1630分~2000

場所   神奈川県総合医療会館7階講堂



総合司会 神奈川県内科医学会常任幹事  岡  正直 先生



1.開  会                神奈川県内科医学会会長  (なか)  佳一(よしかず) 先生

2.講  演

16451745

 「事業委員会報告」

報告者 神奈川糖尿病対策委員会委員長          松葉(まつば) 育郎(いくろう) 先生

神奈川肝炎対策委員会委員長            宮本(みやもと)  (けい) 先生

神奈川認知症対策委員会委員長          渡部(わたなべ) (ひろ)(ゆき) 先生

神奈川高血圧腎疾患対策委員会委員会委員長  佐藤(さとう) 和義(かずよし) 先生

呼吸器疾患対策委員会委員長        西川(にしかわ) 正憲(まさのり) 先生

―休 憩―

18:0018:40 

基調講演 医事紛争の現状と防止策

座 長 神奈川県内科医学会副会長       (たか)() 敦司(あつし) 先生

講 師 平沼髙明法律事務所             平沼(ひらぬま) (たか)(はる) 先生

 18:4019:20 シンポジウム

     「医療事故と医事紛争:大学病院での対策の現状」

安田(やすだ) (せい)(えい) 先生
東海大学医学部外科学系消化器外科教授


東海大学医学部付属病院医療監査部長

     「開業医における医療事故の予防と事故発生時の対処法」

正山(しょうやま)  (たかし) 先生
神奈川県内科医学会幹事


神奈川県医師会医事紛争特別委員会委員

 19:202000 合同討論

コーディネータ 髙木敦司 先生

パネリスト 平沼 髙明 先生、安田 聖栄 先生、正山  先生

4.閉  会              神奈川県内科医学会副会長 梶原(かじはら) 光令(みつのり) 先生





※講演会終了後、意見交換会を予定しております。

2012年5月9日水曜日

お知らせ(平成25年新年学術大会)

「お知らせ(平成25年新年学術大会)」 学術Ⅰ部会長 岡 正直

 平成25年新年学術大会が、2013年1月17日木曜日に横浜駅西口前の横浜ベイシェラトンホテル&タワーズで開催されます。テーマは近年診断と治療に大きな進歩がみられる肝臓疾患についての講演が予定されています。新年学術大会はテーマの内容について深く掘り下げた理解が得られるまたとない絶好のチャンスです。ぜひとも多くの先生方のご参加をお待ちしております。

定時総会時学術講演会2012年5月19日アンケート


神奈川県内科医学会
定時総会時学術講演会2012519日アンケート

1.あなたは神奈川県内科医学会の会員ですか?
2.本日の講演会のことをどうやってお知りになりましたか?
3.本日の講演会に参加された動機は何でしょうか?
4.本日の講演はあなたにとって役に立ったと思われますか?また、時間配分は適切でしたか?
  事業委員会報告
  基調講演「医事紛争の現状と防止策」
  ●講演1「医療事故と医事紛争:大学病院での対策の現状」
  講演2「開業医における医療事故の予防と事故発生時の対処法」
  合同討論
5.今後の講演会で取り上げてほしいテーマや演者があれば教えてください。
6.あなたの年齢、所属機関や専門分野を問題ない範囲で教えてください。
ありがとうございました

学会の動き(神奈川県内科医学会の動向)神内医ニュース68号

学会の動き(神奈川県内科医学会の動向)神内医ニュース68号 学術1部会部会長 岡 正直

 神奈川県内科医学会学術1部会が企画担当している講演会は、定時総会時学術講演会、臨床医学研修講座、秋季学術大会、新年学術大会そして集談会の5つです。
【平成24年新年学術大会報告】
 平成24年新年学術大会が、2012年1月19日(木)18時45分から21時まで、横浜駅西口前の横浜ベイシェラトン&タワーズ5階「日輪」にて開催されました。テーマは「喘息死ゼロへの挑戦」です。
 呼吸器疾患対策委員会副委員長の小野容明先生が座長をされた基調講演「患者吸入指導のコツと吸入デバイス操作法のピットホール」は、東濃中央クリニック院長 大林浩幸先生にお話しいただきました。また、呼吸器疾患対策委員会委員長の西川正憲先生が座長をされた特別講演「喘息治療のup to date」は、杏林大学呼吸器内科主任教授 滝澤始先生にお話しいただきました。
以下に講演の簡単な内容を記します。
 講演1「患者吸入指導のコツと吸入デバイス操作のピットホール」
 気管支喘息治療において、吸入ステロイド薬は第1選択薬であり、慢性閉塞性肺疾患(COPD)では、長時間作用性の抗コリン薬やβ2刺激薬の吸入が、治療の主軸となっている。期待した臨床効果を得るには、薬剤が気道の炎症部位に有効に吸入送達される必要がある。しかし、吸入時に吸入器具(デバイス)の様々な誤操作(ピットホール)が生じ、薬剤を吸えないことがしばしばある。それが患者のアドヒアランスを損なう原因にもなっている。日常診療で生じる“ピットホール”の原因を解説し、“ピットホール”の実例を示し、患者にとって最良のデバイスを探す考え方や、短時間で行える効率的な吸入指導のやり方も考察した。さらに、岐阜県の東濃喘息対策委員会での認定吸入指導薬剤師制度設置の試みも紹介した。
 講演2「気管支喘息の治療up to date」
 気管支喘息はわが国で小児の5-6%成人の約3%と推定されるcommon diseaseである。かつて気道閉塞発作を繰り返す機能的疾患と思われていたが、非特異的気道過敏性が最も重要な呼吸生理学的特長であることが明らかになり、アレルギー性気道炎症の存在が重視されるようになった。近年では気道リモデリングや末梢気道病変も重視されてきている。
 以上の認識に伴い副腎皮質ステロイド吸入薬が登場した。最も強力な抗炎症作用があり、アレルギー性気道炎症や非特異的気道過敏性を著明に改善する。各国でその使用が増えるに従い喘息死が減少してきた。現在厚労省は関連諸団体と協力し「喘息死ゼロ作戦」を展開している。
 喘息有症率増加、喘息死高齢化、難治性喘息例など残された課題は多い。最近、喫煙、高齢者、肥満、アスピリン不耐性などの重症化因子や、気道リモデリング、末梢気道病変に加え、好中球や気道平滑筋細胞の重要性が注目されている。
 近未来には、吸入ステロイドを主役としつつも、アレルギー型重症例でのヒト化抗IgE抗体製剤のような個別化治療に進むであろう。またサイトカインを標的とした生物学的製剤や、気道リモデリング抑制薬の開発も進行中である。アレルギー疾患の発症自体を予防する免疫療法の進歩が期待されている。
 新年学術大会は2つの講演が互いに関係する分野の話となるよう企画され、テーマの内容について深く掘り下げた理解が得られるまたとない絶好のチャンスです。
【第75回集談会報告】
 第75回集談会が2012年2月18日(土)15時から18時30分まで小田急本線本厚木駅北口より徒歩5分のレンブラントホテル厚木(もとロワジールホテル)にて第5地区厚木内科医会の主管で開催されました。33題の一般演題の発表が3つの会場で並行して(1会場はポスター展示で)行われ、活発なディスカッションが持たれました。一般演題と特別講演の進行と並行して、ポスター会場にて頸動脈エコー、血圧脈波検査、骨塩定量も行われました。休憩コーナーではコーヒーやスナックもふるまわれました。17時30分からの特別講演は「腎障害を伴う高血圧治療」を埼玉医科大学腎臓内科教授の鈴木洋通先生にお話しいただきました。以下に講演の簡単な内容を記します。
 慢性腎臓病における血管病の進展は、血圧、容量負荷、RA系の亢進だけでなく、カルシウム・リン代謝異常による血管の石灰化や血管内皮障害・酸化ストレス・高血糖・脂質異常が複合して血管系の変化を起こし、収縮期血圧の上昇・冠血流低下・左室肥大から心血管障害となり死亡に至るという流れである。
 腎障害者は昼間立位をとっているときは腎血流の低下によりナトリウム貯留がすすみ血圧も上昇するが、就寝し臥位をとることによって腎血流の上昇とナトリウム排泄が増え血圧も低下傾向となる。よって腎障害者は夜間頻尿を訴えることが多いのである。また、腎障害者は早朝の高血圧を示すことが多いのも特徴的である。高血圧は腎障害を悪化させるため、血圧が高い症例では、降圧効果の強いCCBが第一選択となる。
 日本で一番多いIgA腎症では、血圧を厳格に管理することによって腎機能低下を防ぐことができる。
 早朝の血圧のコントロールは重要な意味をもつ。早朝血圧を下げることにより心機能の改善が期待できる。早朝の収縮期血圧が130 より高いとGFRの悪化がみられる。外来血圧はあてにならないことが多く、家庭血圧測定の重要さが注目されている。糖尿病者では朝の収縮期血圧が130強で腎機能低下をきたす。
 高血圧によって若年者の腎機能低下は早く進むが、高齢者の場合はゆっくりであるため、高齢者の収縮期血圧のコントロールは140程度でよいのではないか。
 最近心臓腎臓の同時不全例が増加している。心機能の悪い人は120/75のより低い血圧コントロールにしたほうが、心機能改善効果がみられるが、心腎不全により血圧がすでに低下している場合は治療が難しい。
 慢性腎臓病(CKD)Stage4,5の人はRA系の降圧薬を半量にすること。蛋白尿が多い場合、ACEIにARBの追加処方は有効である。ARBは腎機能の改善や腎でのインスリン代謝改善(糖尿病の発症抑制)などの働きを介して、心血管病変を減少させていると考えられる。
 心血管の状態を知るためには、血圧測定のみならず、腎機能・尿蛋白・貧血・カルシウムリン代謝・糖代謝などの情報にも注意して診療することが重要である。
 豊富な臨床データの分析を交えながら、明日からの日常診療に役立つ情報をお示しいただきました。
 18時35分からの懇親会では厚木内科医会幹事の今岡千栄美先生による素晴らしいオペラ歌唱に深い感銘を受け、引き続きハーモニカの聖地と言われる厚木ならではの多彩なハーモニカにより編成されたオーケストラによる本格的な楽曲の演奏に圧倒されつつ、次回の担当の第1地区横浜内科学会副会長小野容明先生の挨拶もあり、盛会のうちに終了いたしました。
【平成24年度定時総会時学術講演会報告】
 平成24年度定時総会が、平成24年5月19日(土)午後に神奈川県総合医療会館にて開催され、引き続き16時30分より定時総会時学術講演会が行われました。
 従来、定時総会では各事業委員会の活動報告や2月の集談会での優秀演題2題の発表を行い、その後の学術講演会では最新の医療に関する特別講演を拝聴していました。その内容が極めて充実しているために、長時間の拘束時間が参加者の負担であったことも事実です。そこで今回の定時総会時学術講演会からは、2つの大きな変更が行われました。
 第1点は、今期より学術Ⅱの部会の事業委員会から「禁煙分煙推進委員会」と「ジェネリック問題対策委員会」を分離し、新設の「在宅医療委員会」とともに社会公益部会の事業委員会として、社会公益部会の活動報告を秋季学術大会に移動し、また集談会の優秀演題の発表も秋季学術大会に移動することにより、全体の時間の短縮を図りました。
 第2点は、総会および総会時講演会の企画運営に共催メーカーの関与をなくし、神奈川県内科医学会単独による開催としたことです。これによって、共催メーカーの利害に配慮することなく、会員の本当に聞きたい講演テーマを自由に設定できるようになりました。今回のテーマは「医事紛争に立ち向かう」です。
 学術Ⅱ部会の各事業委員会(糖尿病、肝炎、認知症、高血圧腎疾患、呼吸器疾患)の委員長による活動報告(16:45-17:45)のあと、「医事紛争に立ち向かう」ための基調講演「医事紛争の現状と防止策」(18:00-18:40)が、神奈川県内科医学会副会長の高木敦司先生の座長、平沼髙明法律事務所の平沼髙明先生の講演により行われました。以下に講演の簡単な内容を記します。
 
 基調講演のあとシンポジウム(18:40-19:20)が行われ、大病院の立場と開業医の立場からの二つのご講演をいただきました。
 まず東海大学医学部外科学系消化器外科教授/東海大学医学部付属病院医療監査部長の安田聖栄先生より「医療事故と医事紛争:大学病院での対策の現状」のご講演をいただきました。以下に講演の簡単な内容を記します。
 
 次に神奈川県内科医学会幹事/神奈川県医師会医事紛争特別委員会委員の正山堯先生より「開業医における医療事故の予防と事故発生時の対処法」のご講演をいただきました。以下に講演の簡単な内容を記します。
 
 2つの講演のあと合同討論(19:20-20:00)がコーディネータの高木敦司先生と演者の3先生を交えて活発に行われました。
 日々の診療行為のなかで決しておろそかにできない重要なポイントが数多く示され、恐ろしくもありますが、きわめて有用な講演会であったと思います。
【第37回臨床医学研修講座予告】
 第37回臨床医学研修講座が2012年10月20日(土)に横浜市立大学医学部市民総合医療センター(横浜市営地下鉄坂東橋駅最寄)にて横浜市立大学と横浜内科学会の主管で開催される予定です。当講座は大学の進んだ医療を開業医が学び、かつ大学の先生方との懇親の機会を持つために行われています。多くの先生方のご参加をお願い申し上げます。
【平成24年度秋季学術大会予告】
 平成24年度秋季学術大会が2012年11月17日(土)15時より、JR川崎駅前の「川崎日航ホテル」にて第2地区川崎市内科医会の主管で開催される予定です。以前この会は横浜市内で開催されておりましたが、横浜以外の県内各地域で開催したいとの声を受けて、2010年より持ち回りで県内各地で開催することになりました。また、今回より講演に先立って、社会公益部会の事業委員会報告と集談会の優秀演題の発表も行われることになっています。
 学術Ⅰ委員会は平成22年度まで部会長をされた伊藤正吾先生の後を引き継ぎ、平成23年度より新たな体制で活動を開始いたしました。平成24年度も中佳一会長のご指導のもと、今までの長い歴史のある講演会に新たな変更や発展を加えながら、5つの基本講演会を開催していきたいと思います。今後とも、神奈川県内科医学会本体事業である学術1部会の講演会開催にご協力とご参加をお願い申し上げます。