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2014年6月6日金曜日

「血圧147で健康」は「非常識」

「血圧147で健康」は「非常識」、高久医学会会長池田宏之(m3.com編集部) 
 2014年5月22日(木) 配信


 日本医師会と日本医学会は5月21日、「血圧147 mmHgは健康」などとする日本人間ドック学会などが出した新たな健診の基本検査の基準範囲について、将来の疾病発症を予測できるコホート研究でない点を指摘し、「エビデンスが高いとは言えない」として、人間ドック学会に、日本医学会や関係学会との慎重な検討などの対応を求める見解を示した(資料は、日医のホームページに掲載)。

 会見に出席した、日本医学会の高久史麿会長は、「血圧147 mmHgが健康」との考え方について、「世界的の常識からかけ離れている」と指摘した。日本医学会の高久史麿会長は、収縮期血圧130 mmHgから139 mmHgのリスクついて「米国では『Prehypertension』」と指摘した。

 基準は、人間ドック学会と健康保険組合連合会が合同で、調査研究委員会を立ち上げ、4月に「新たな健診の基本検査の基準範囲」として公表された。調査では、人間ドック受診者150万人から、34万人の「健康人」を抽出し、うち1万から1万5000人の検査値から、血圧、BMI、コレステロールなど27項目の新た
な基準の範囲を示している。血圧では、収縮期血圧の上限が147mmHg、拡張期血圧の上限は94mmHgとなっている。

 これらの新しい基準範囲は、マスコミなどで大きく取り上げられたことを受けて、人間ドック学会は、「今すぐ学会判定基準を変更するものではない」との見解を示していたが、日医などは、報告書に「今後、健診機関の共用基準範囲として、健診の場で用いられることが期待される」とされている点などを受けて、今回、見解を示した。

 見解では、現在の基準値について、福岡県の久山町研究など長期コホート研究の結果を受けて設定している点を指摘した上で、今回の調査について「リスク評価のできない大規模横断調査であり、決して将来の疾病発症を予測できる前向き追跡コホート研究でなく、エビデンスが高いとは言えない」と疑義を示している。高久氏は、日本高血圧学会など関連3学会が「(今回のような)瞬間的な値で、基準を決めるのは問題」という意見を出してきたことを紹介した上で、「収縮期血圧130 mmHgから139 mmHgは、日本では、『正常高値血圧』となっているが、米国では『Prehypertension』で、147 mmHgで健康というのは、世界の常識からかけ離れている」と批判した。

 さらに、見解で不満を示しているのは、人間ドック学会から、事前に日本医学会や関係学会、日医への十分な相談がなかった点で、「十分な検討・協議もないままに、唐突に新たな値を公表したことは、多くの国民に誤解を与え、医療現場の混乱を招いており、拙速」としている。その上で、日本医学会や関係専門学会などとの慎重な検討をするように求めている。

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