ページ

2019年5月21日火曜日

定時総会時学術講演会 講演1 2019.05.18

「マスコミ・ネット情報に惑わされる患者にどう対処するか?」
神奈川県内科医学会 メディカルコミニュケーション委員会 委員長 松澤陽子

 メディカルコミニュケーション委員会(MC委)は精神腫瘍学、高齢者医療、生活習慣病の3つを中心に活動している。
 現代日本人が健康や医療について調べる際、70~80%はインターネット検索サイトを、8~10%はインターネット質問サイトを利用しており、2014年の糖尿病患者の代替療法の情報源についての調査でも、テレビや新聞雑誌の比重が大きいことが示されている。
 今回、MC委では2019年3月~4月に会員に対してアンケートを実施し、マスコミやネットによる信用できない医療情報を信じている患者に対して会員がどのように対処しているかを調査した。配布数223、回答47、回収率21.1%であった。対処の仕方については、これが正解というものはなく、さまざま対処法を集約して「智恵袋」を作ろうと考えた。患者の意見に対して、否定的な対処や、逆にそのまま受け入れる(受け流す)肯定的な対処もあった。また、この機会をとらえて「なぜ、そのような情報に惑わされるようになったのか?」という原因を掘り下げることによって、医師・患者間の信頼関係を深めようとする対処法も興味深く思われた。
 玉石混交、悪意や誤解、利益誘導やフェイクニュースを含め、日々過剰な情報があふれる現代社会の中で、信頼に足る医学情報源を知り、患者に紹介できることが臨床内科医に期待されている。情報源の一つとして国立栄養研究所のサイト「健康食品の安全性・有効性情報」(https://hfnet.nibiohn.go.jp/)を紹介したい。その他、各学会や大学病院・専門病院のインターネットサイト、日本臨床内科医会や製薬会社のパンフレットなどもよいと思われる。
 健康情報を入手し理解し評価して活用するための能力を「ヘルスリテラシー」という。まずは医師自身のヘルスリテラシーを高め、さらにヘルスリテラシーをわかりやすく説明する能力も高めることである。ここに患者の想いを聴く姿勢が合わさることにより、医師と患者の信頼関係が深まり、患者のヘルスリテラシーの向上が達成されるものと考えている。

0 件のコメント: