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2017年3月22日水曜日

神奈川県内科医学会新春学術講演会2017.1.19「これからのC型肝炎治療」横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器内科教授 田中克明先生

「これからのC型肝炎治療」横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器内科教授 田中克明先生
 Direct acting antivirals(DAAs)によりC型慢性肝炎は95%超治癒する時代となったが、最新の肝炎治療から洩れている人の掘り起こしが今後重要となるだろう。高齢者に対するDAAs治療は、70歳台であれば行い、80歳台では適応を考慮するが元気なら治療対象と考える。ただし75歳以上では有害事象による治療中止が多い傾向がある。シメプレビル(SMV)で失敗した人は耐性変異により、ダクラタスビル(DCV)+アスナプレビル(ASV)でも失敗するのでこの治療を避けること。DNAにはなくRNAのみに含まれるウラシルのアナログであるソホスブビル(SOF)は画期的なDAAであり、1型に対するSOF+レディパスビル(LDV)治療はほぼ100%の治癒を可能としているが、eGFR50未満の腎障害者には注意すること。オムビタスビル(OBT)+パリタプレビル(PTV)+リトナビル(r)は腎機能低下例でも使用できるが、ウイルスの耐性があると治療成績が低下する。また多くの薬剤と相互作用があり、投薬内容に細心の注意が必要である。特にカルシウム拮抗薬との併用は避けること。エルバスビル(EBV)+グラゾプレビル(GZR)も腎障害者に使え、97%の成績である。薬剤相互作用も比較的少ない方である。今後登場するDCV+ASV+ベクラブビル(BCV)も成績はよく、ゲノタイプ1aにも効果があるのが特徴である。さらにグレカプレビル(GLE)+ピブレンタスビル(PIB)はわずか8週間投与ですべてのゲノタイプに対して効果があり、それまでのDAAs治療の失敗例に対する画期的な治療薬となることが期待されている。今後の問題点として、非代償性肝硬変患者への治療や、DAAs治療失敗後の多重耐性症例への治療などが課題である。

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