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2014年10月15日水曜日

日本臨床内科医学会 盛岡 教育講演5 「内科医に必要な認知症の知識」 岩手医科大学 寺山靖夫先生

日本臨床内科医学会 盛岡 教育講演5 
「内科医に必要な認知症の知識」 岩手医科大学 寺山靖夫先生

人間の寿命の上限は122歳と考えられる。個人の寿命を規定する老化しやすい臓器は、出生時に機能単位が決まり増殖しない心臓や脳である。生活習慣の影響により脳血流低下がおこり、脳代謝低下によるアミロイド蓄積がアルツハイマー型老年認知症の原因である。認知症発症の20年以上前からアミロイドやタウ蛋白の蓄積が始まるが、近年アミロイド原因説は否定的となり、血流障害説が有力となってきた。高齢者の5人に1人は認知症とみられるが、根本的な治療法がない現在「人の名前が出てこない」といった軽度認知障害の段階で治療開始が望ましい。ADL低下の抑制だけでも介護者の負担軽減は大きい。同時に生活習慣病治療や運動習慣も重要である。また若い人の老いに対する理解の欠如も問題である。認知症患者は、壊れつつある自分と正常な自分との葛藤を抱え、この葛藤による不安が周辺症状を引き起こすため、家族や社会の理解は大きな意味を持つ。また認知症疾患医療センター等の社会資源の利用も有用である。

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