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2013年10月23日水曜日

アトピー性皮膚炎診療が楽しくなる 2013年10月14日

アトピー性皮膚炎診療が楽しくなる 金沢大学皮膚科教授 竹原和彦 
日本臨床内科医学会 2013年10月14日 神戸国際会議場にて

 ステロイド(S)外用はアトピー性皮膚炎(AD)の標準治療である。しかし誤ったS使用による副作用症例に端を発したマスコミを中心とするSバッシングは、AD治療を混迷の淵に陥れ大きな社会的問題にまで発展した。そこにつけ入った邪悪なアトピービジネス業者の暗躍は、不幸なAD患者を数多く生み出すこととなった。この混迷を打破すべく、演者は皮膚科学会のAD治療ガイドラインの作成にかかわり、ADの標準治療を確立し、精力的に各種マスメディア上での啓蒙に努め、AD患者の相談窓口も設けてきた。その甲斐あって、かつてSバッシングに加担していたマスコミや弁護士もアトピービジネスの糾弾に動き、アトピービジネスは衰退しAD治療は長い混迷から抜け出しつつある。
 AD治療は、皮膚の部位別に適切なS外用剤を使い分けることにより、早ければ1-2週間で改善が見られ、順調なら3か月で軽快させることも可能である。しかし正しい外用治療をAD患者に理解させ継続させることが困難なことが多く、患者の信頼を得るためにも演者の外来では初診時の説明に多くの時間と労力を費やしている。ストレスの溜まりやすいAD診療をいかにスムーズに楽しく行うかについて、経験豊富な演者ならではのユニークな視点からの多くの工夫が紹介され、AD診療に限らない日常診療の場面に生かせるヒントがちりばめられた講演であった。

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