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2018年10月17日水曜日

第32回日本臨床内科医学会レクチャー4-2「C型肝炎からNASHへ」

日臨内ニュース 第32回日本臨床内科医学会レクチャー4-2 「C型肝炎からNASHへ」 横浜市立大学附属病院・肝胆膵消化器病学 診療教授 斉藤 聡 先生
副作用の多いインターフェロンから直接作用型抗ウイルス薬による治療に代わって後、C型慢性肝炎ウイルスはほぼ100%消滅可能になったが、まだ問題点が残されている。少数ではあるが1型2型以外の型のウイルスの存在、保険適応のセロタイプ検査と保険適応のないゲノタイプ検査結果の不一致による薬剤選択の誤り、HIV感染合併者、肝移植後患者、非代償性肝硬変患者などである。治療の進歩の一方で多くのC型肝炎と診断されていない潜在患者や診断されながら未治療の患者が取り残されている。さらに強力な啓発活動を行うことが重要である。近年肝癌の原因疾患として非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が注目されている。線維化の進行とともに発癌リスクが上昇するため、FIB4 indexなどの臨床で使いやすい指標を活用したり、FibroscanやMREなどのElastographyにより線維化の評価を積極的に行うことである。「脂肪肝」として放置していると、取り返しのつかない事態になる恐れがある。NASHに対する特効薬がない現状において、肥満者に対する生活習慣改善は大きな意義を持つ。7%の体重減少により肝機能のみならず肝線維化の改善も見られるという。肝疾患診療の大変革を学んだ密度の高い講演であった。(記 岡 正直)

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