2018年8月10日金曜日

神奈川県内科医学会 肝・消化器疾患対策委員会のあゆみ

K2「神奈川県内科医学会 肝・消化器疾患対策委員会のあゆみ」
 神奈川県内科医学会 肝・消化器疾患対策委員会 委員長 岡 正直

【はじめに】
 今世紀に入り、我が国の多くのC型慢性肝炎・肝硬変患者が発がんの時期に達し、年間約3万人が肝がんにより死亡する状況であった。臨床の現場において慢性肝炎と肝硬変・肝がんの知識を啓発し病診連携を進めるため当委員会は平成14年(2002年)に「神奈川肝炎対策委員会」として発足した。当初その活動の中核は、神奈川県立がんセンター顧問 多羅尾和郎と神奈川県内科医学会会長 中山脩郎の主導で平成16年(2004年)に始まった「肝がん撲滅を目指す病診連携の会」(のちに「肝臓病を考える病診連携の会」と改名)のサポートを行うことであった。平成21年(2009年)に多羅尾が委員長就任後に活動の幅が広がり、肝炎対策特別講演会の開催、市民公開講座の共催、小冊子「これだけは知っておきたいC型・B型肝炎の知識」の定期発行やウイルス肝炎患者掘り起こし事業まで活動の幅が広がってきている。平成30年(2018年)より、肝疾患のみならず、消化器疾患全般に対策を広げるため、委員会名称を「肝・消化器疾患対策委員会」と改めている。
平成14年(2002年)~平成20年(2008年) 委員長 岡 正直
平成21年(2009年)~平成22年(2010年) 委員長 多羅尾和郎
平成23年(2011年)~平成25年(2013年) 委員長 宮本 京
平成26年(2014年)~          委員長 岡 正直
 現在までの、主たる活動の3つ「肝臓病を考える病診連携の会」と「小冊子《これだけは知っておきたいC型肝炎・B型肝炎の知識》の刊行」と「横浜内科学会肝疾患抽出事業」について章を分けて紹介したい。

【肝臓病を考える病診連携の会】
 神奈川県の5つの地区(横浜、川崎、横須賀、平塚、相模原)を順番に回りながら、原則年2回(初夏と秋)開催している。

《平成16年(2004年)~平成23年(2011年)代表世話人 中山脩郎、多羅尾和郎》
・第1回「肝がん撲滅を目指す病診連携の会」(図1)
 平成16年(2004年)6月26日(土)新横浜グレイスホテル
 特別講演「肝がん撲滅を目指した慢性肝炎・肝硬変の最新の治療 インターフェロン無効例を中心に」神奈川県立がんセンター所長 多羅尾和郎
・第2回 平成16年(2004年)11月20日(土)ホテル ザ・エルシー
 特別講演「遺伝子情報に基づく肝細胞癌へのアプローチ」聖マリアンナ医科大学教授 伊東文生
・第3回 平成17年(2005年)6月18日(土)横須賀プリンスホテル
 特別講演「肝癌の現状と最新の集学的医療」大船中央病院消化器肝臓病センター 高塚健太郎
・第4回 平成17年(2005年)11月19日(土)平塚駅ビル「LUSCAホール」
 特別講演「肝癌撲滅の為の治療戦略」東海大学医学部消化器内科教授 峯 徹哉
・第5回 平成18年(2006年)6月17日(土)相模原南メディカルセンター大会議室
 特別講演1「北里大学病院・東病院における肝癌治療と病診連携の状況」北里大学医学部消化器内科講師 渋谷明隆
 特別講演2「肝細胞癌に対する肝切除の治療成績」相模原協同病院消化器外科副院長 高野靖悟
・第6回 平成19年(2007年)6月16日(土)崎陽軒本店
 特別講演1「C型肝硬変の肝発がんにおける持続炎症の役割」神奈川県立がんセンター元所長 多羅尾和郎
 特別講演2「肝細胞癌に対する内科的治療と将来の展望」横浜市立大学附属市民総合医療センター院長 田中克明
・第7回 平成19年(2007年)12月1日(土)川崎市立多摩病院
 特別講演1「肝癌に対する外科治療」聖マリアンナ医科大学消化器一般外科教授 大坪毅人
 特別講演2「肝癌診療の現状」川崎市立多摩病院副院長 鈴木通博
・第8回 平成20年(2008年)6月28日(土)セントラルホテル(横須賀)
 パネルディスカッション「病診連携による肝炎・肝がん治療の実態」
 横須賀共済病院 池田隆明、小磯診療所 磯崎哲男、大船中央病院 高塚健太郎、済生会横浜市東部病院 山室 渡
・第9回 平成20年(2008年)10月25日(土)平塚プレジール
 特別講演「肝がんはどのように育つのか。またその撲滅のためにはどのような工夫があるのか」東海大学医学部消化器内科教授 峯 徹哉
・第10回 平成21年(2009年)6月6日(土)相模原南メディカルセンター
 講演1「相模原市の診療所における慢性肝疾患治療の現状と肝細胞癌に対する病診連携ガイドラインの提案」あさば内科・消化器科クリニック院長 浅葉宣之
 講演2「肝癌検索のための腹部CTで骨盤内腫瘍が指摘された症例」北里大学医学部放射線科学 松永敬二
 講演3「若年性肝細胞癌症例」北里大学外科講師 古田一徳
 講演4「HBs抗原消失後に肝細胞癌が発症したB型肝硬変の1例」国立病院機構相模原病院消化器科医長 中村陽子
 講演5「C型肝炎ウイルス患者の治療」相模原協同病院病院長 高野靖悟
・第11回「肝臓病を考える病診連携の会」(会の名称変更)(図2)
 平成21年(2009年)11月28日(土)TKPコンカード横浜ビジネスセンター
 特別講演「肝硬変・肝癌に進行する脂肪肝:NASH」東京女子医科大学消化器内科教授 橋本悦子
・第12回 平成22年(2010年)6月12日(土)ホテル精養軒
 特別講演「肝癌診断および治療法の現状」川崎市立多摩病院副院長 鈴木通博
・第13回 平成22年(2010年)11月27日(土)セントラルホテル(横須賀)
 特別講演「B型慢性肝炎 どのような症例をどのように治療すべきか」武蔵野赤十字病院消化器科部長 黒崎雅之
・第14回 平成23年(2011年)5月21日(土)平塚プレジール
 特別講演「C型慢性肝炎治療のup to date」東海大学医学部消化器内科学教授 峯 徹哉
・第15回 平成23年(2011年)11月26日(土)相模原市南メディカルセンター
 特別講演「肝細胞がん治療 局所治療から分子標的薬治療まで」北里大学医学部消化器内科学 中澤貴秀

《平成24年(2012年)~ 代表世話人 宮本 京、岡 正直》
・第16回 平成24年(2012年)6月16日(土)TKPガーデンシティ横浜
 特別講演「肝臓病のプライマリケアと病診連携 肝機能検査を中心に」済生会神奈川県病院消化器内科 副院長 山室 渡
・第17回 平成24年(2012年)12月8日(土)ホテルKSP(川崎市)
 特別講演「B型肝炎 一般医家が知っておきたい最近の話題」東京大学大学院医学系研究科 生体防御感染症学講座准教授 四柳 宏
・第18回 平成25年(2013年)6月29日(土)セントラルホテル(横須賀)
 特別講演「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)のすべらない話」京都府立医科大学大学院医学研究科 消化器内科学講師 角田圭雄
・第19回 平成25年(2013年)11月16日(土)平塚プレジール
 特別講演「B型慢性肝炎・C型慢性肝炎に対する最新治療」東海大学医学部消化器内科学教授 峯 徹哉
・第20回 平成26年(2014年)6月7日(土)相模原南メディカルセンター
 特別講演「新しい肝臓病の治療薬に関して インターフェロンなしのC型肝炎治療も含めて」北里大学東病院消化器内科 日高 央
・第21回 平成26年(2014年)10月18日(土)新横浜プリンスホテル
 特別講演「新しい時代を迎えたC型慢性肝炎治療」京都府立医科大学消化器内科学教授 伊藤義人
・第22回 平成27年(2015年)6月27日(土)川崎市中原休日救急診療所会議室
 特別講演「C型肝炎治療の現状 IFN freeの時代の到来」川崎市立多摩病院院長 鈴木通博
・第23回 平成27年(2015年)10月24日(土)セントラルホテル(横須賀)
 特別講演「multi-DAA時代のC型肝炎治療:現況と新たな課題」北海道大学大学院医学研究科 内科学講座消化器内科学分野教授 坂本直哉
・第24回 平成28年(2016年)6月11日(土)平塚プレジール
 特別講演「C型慢性肝炎の過去から未来」東海大学医学部内科学系消化器内科学准教授 肝疾患医療センター長 加川建弘
・第25回 平成28年(2016年)11月19日(土)相模原南メディカルセンター
 特別講演「HCV根絶へのカウントダウン」北里大学医学部消化器内科学助教 魚嶋晴紀
・第26回 平成29年(2017年)6月17日(土)TKPガーデンシティ横浜
 特別講演「新時代を迎えたC型肝炎のDAA治療 新たな感染者の掘り起こし」埼玉医科大学病院消化器内科・肝臓内科教授 持田 智
・第27回 平成29年(2017年)11月11日(土)川崎市医師会館
 特別講演「C型肝癌撲滅のための現状と課題」聖マリアンナ医科大学消化器・肝臓内科准教授 松本伸行
・第28回 平成30年(2018年)6月16日(土)ヴェルク横須賀(図3)
 特別講演「肝発がんに関与する代謝性肝疾患としての脂肪肝 非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を中心に」横浜市立大学附属病院肝胆膵消化器病学教室 今城健人


【小冊子《これだけは知っておきたいC型肝炎・B型肝炎の知識》の刊行】
 急速に進歩する肝炎治療の新情報をすばやく、わかりやすく、より多くの治療者に周知するために、委員によって分担執筆された小冊子である。実際の診療に役立つ内容とするため、医学的な内容に加えて、保険請求上の注意点や肝炎治療の医療費助成制度などの情報も載せるなど、特徴ある冊子となっている。
1)平成21年(2009年) 初版  17ページ(図4)
2)平成23年(2011年) 改訂版 19ページ(図5)
3)平成25年(2013年) 改訂版 35ページ(図6)
4)平成27年(2015年) 改訂版 48ページ(図7)
 平成29年(2017年)に神奈川県内科医学会の創立50周年の節目を迎えるにあたり、記念事業の一環として、当委員会の委員の分担執筆による、C型肝炎・B型肝炎のみならず肝疾患全般をカヴァーする内容の書籍「これだけは知っておきたい肝臓病の知識」の出版を企画した。(図8)


【横浜内科学会肝疾患抽出事業】(図9、10)
 肝機能障害の原因は、ウイルス性肝炎や脂肪肝、アルコール性肝障害、非アルコール性脂肪肝炎、薬物性肝障害、自己免疫性肝炎や原発性胆汁性胆管炎など様々であるが、自覚症状が乏しいため適切な時期に治療を受ける機会を逃してしまい、肝硬変や肝がんに進展してしまう恐れがある。ましてや日頃何らかの疾患で医療機関に通院している患者で、そのような事態が生じれば、最悪の場合訴訟問題に発展するかもしれない。そこで、かかりつけ医で肝機能障害を認めた場合、初期の段階でどのように対応するかが重要であるが、肝機能異常の原因検索は複雑で、また保険診療上の制限もあり、診断に難渋することが少なくない。
 このような問題に対応すべく、肝臓の非専門家にとっても扱いやすい、できる限り簡便な「肝疾患抽出簡易検査シート」を横浜内科学会で作成し、非肝臓専門医あるいは職域において、気づかれないまま放置されている肝疾患患者を発見し治療に導くために「肝疾患抽出プロジェクト」として横浜地域を中心に活動を広げている。その活動の詳細については、ポスター発表K3「横浜内科学会肝疾患抽出事業について」を是非ともご覧いただきたい。

【神奈川県内科医学会 肝・消化器疾患対策委員】
委員長  岡 正直
副委員長 峯 徹哉、永井一毅
委員   宮本 京、多羅尾和郎、藤井隆人、小林明文、池田隆明、
     髙山秀明、中野史郎、 斎藤 聡、日高 央、松本伸行

図1
図2

 図3
 図4
 図5
 図6
 図7
 図8
 図9
図10