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2016年10月16日日曜日

日本臨床内科医学会 教育講演2「内科医に知ってもらいたい肺癌診療」東京医科大学呼吸器甲状腺外科学主任教授 池田徳彦先生

日本臨床内科医学会 教育講演2「内科医に知ってもらいたい肺癌診療」東京医科大学呼吸器甲状腺外科学主任教授 池田徳彦先生

わが国では年間7 万人が肺癌で死亡している。他の癌に比べ肺癌は8 割超と死亡率は高いが、早期発見できれば5 年生存は87% を期待できる。最近の傾向として中心型に比べ末梢型の肺癌が増加している。肺癌はT 因子( 大きさ) 、N 因子( リンパ節転移) 、M 因子( 遠隔転移) によって4 段階のステージに決定される。わが国ではCT 検査の普及もあり、早期の肺癌の発見が多く、早期肺癌についての知見が集積している。確定診断の為の気管支鏡生検は、2cm 以下の肺癌では困難だが、virtual navigation bronchoscopy(VNB) を用いることにより簡単に確実な生検が可能となった。外科手術も胸腔鏡手術や縮小手術がよく行われるようになった。CT像ですりガラス優位所見の癌は充実部優位所見の癌に比べ悪性度が低いので肺葉切除でなく区域切除で十分と考えられる。PET を用いた悪性度の評価も実用的になりつつある。近未来には遠隔手術やロボット手術も実用化されるであろう。近年、癌細胞の遺伝子解析に基づいて多彩な化学療法が開発され、この分野での医学知識は急速に増大している。臨床現場において、このようなbig data を肺癌の治療に活かすためには、今後人工知能の助けが重要なものとなるであろう。

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