朝日内科クリニック 院長 飯塚孝
神奈川県内科医学会糖尿病対策委員会では、日常診療において2型糖尿病に対する新規糖尿病薬であるSGLT2阻害薬イプラグリフロジン投与の有効性と安全性を検討するため、臨床研究を開始した。
イプラグリフロジン25あるいは50mgを用いて、20歳以上で12週以上治療しても糖尿コントロール不良(HbA1c6.0以上)者を対象とし、イプラグリフロジンを一日50ないしは100㎎を52週間投与し、坐位血圧、CBC、生化学、血中インスリンまたはCPR、尿一般、体組成測定(T-SCAN PLUS使用)、空腹時ケトン体測定などを行った。有効性は治療開始時より52週間のHbA1c変化量で評価するものとし、4,12,24,36,52週における血糖、HbA1c、脂質、体組織、体重、ウエスト径などをチェックする。安全性についてはケトン体の変化や、有害事象・副作用にも留意する。また食事行動問診票の記入、生活習慣アンケートも毎回おこなっていく。
第1報としての1ヶ月めの中間報告では、HbA1c8.1から7.7、血糖195から164、BMI29から28.8、体重77.8から76.7kg、体水分38.4から37.6kg、細胞外水分15.4から15.1kg、ウエスト101から99cmと改善がみられた。また食事行動問診票で「たくさん食べた後悔」が減っていた。副作用については検討中である。4週間の時点ですでにHbA1c改善、食後高血糖改善がみられた。さらに症例を集め、食事行動の変化や生活習慣への影響についても検討したい。
朝日内科クリニックにおいて、3か月間、26例について同様の検討を行ったので紹介する。対象の平均は52.5歳、身長162.4㎝、3か月後には体重83.3から78.7㎏、BMI31.4から30.2、ウエスト103.5から101㎝、血圧125.8/79.2から122.7/75、血糖242から167、HbA1c9.25から8.4、他にALT、γGTの改善もみられた。体脂肪・内臓脂肪は低下傾向あるが筋肉量は減っていなかった。HbA1cの高い(8.4以上)症例ほどHbA1cの低下量は大きく、HbA1c低下-0.7以上の著効例では投与前HbA1cが有意に高値であった。
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