第31回日本臨床内科医学会 ポスターP8-1 2017.10.8
認知症の薬物療法,非薬物療法,新たな非薬物療法(里山療法)の効果:治療開始 1年以上の経過例について
医療法人わかば会俵町浜野病院
○浜野 裕,浜野 敦子,望月 重雄, 前川 和也,山田 栞里,西 正昭
認知症治療薬の効果は投与後1年を過ぎると減弱し、その後は悪化していくことが知られているが、薬物療法やそれに通所リハを加えた治療を行うことで自然経過例に比べ悪化が有意に抑えられたという。さらに非薬物療法の中でも次に述べる「里山療法」を行うとMMSEの成績はむしろ改善し、薬物療法だけの場合やそれに通所リハ活動も行った場合に比べ、その改善は明らかだったとの発表は大変興味深いものだった。里山療法とは作物を育て、観察し、収穫する「園芸療法」と、無理なく、楽しく歩く運動療法である「森林療法」をくみ合わせたものである。有料老人ホームに併設された、美しい里山を想起する1000坪の庭に畑や棚田を点在させ、そこで園芸活動を行うのだが、畑は庭の各所に分散しているため、必然的に日々庭を回遊散策することになる。里山のような庭を眺めながら、楽しく苦にならないように一周約500mから700mを歩くことになるという。また作物の生育を観察し計測し、観察日記に記録し、作物の数の計算を日々行うことにも意義がある。里山療法は、薬物療法の効果を高める、より効果的な非薬物療法であり、作物を収穫する喜び、それを調理して食べる楽しみを仲間と共有できることで、高齢認知症患者の生きがい感の創出に役立つと共感した。発表後、都市部で里山療法が可能かとの質問に対し、屋上庭園などを活用するといった工夫ができるのではないかとの示唆があった。(記 岡 正直)
2017年10月10日火曜日
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