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2011年5月23日月曜日

神奈川県内科医学会の動き

神内医ニュース第66号(平成23年7月1日発行予定)「学会の動き」原稿下書き
神奈川県内科医学会の動き

【第74回集談会報告】(武田 浩先生)

 第74回集談会が第4地区秦野伊勢原医師会内科医会の主管により、平成23年2月12日(土)に厚木市のロワジールホテル厚木にて開催されました。一般演題は19演題を4つのセッションに分けて発表され、その後休憩をはさんで特別講演「糖尿病治療の新戦略」を聖マリアンナ医科大学教授、田中逸先生によりご講演いただきました。
 優秀演題として、永井医院松丸克彦先生による「非アルコール性脂肪性肝疾患におけるアディポネクチンと脂質代謝の検討」と、かしわぎクリニック柏木利幸先生による「低GI食品の血糖コントロールにおける有用性について」の2題が選定されました。

【平成23年度定時総会時学術講演会報告】(伊藤正吾先生)

 平成23年度定時総会時学術講演会が平成23年5月14日(土)に横浜市の神奈川県総合医療会館7階講堂にて開催されました。当会の7つの事業委員会の委員長による活動内容についての発表に続いて、先に記しました第74回集談会の優秀演題より松丸克彦先生による「非アルコール性脂肪性肝疾患におけるアディポネクチンと脂質代謝の検討」の発表のあと、休憩をはさんで、特別講演「腎不全高齢者の管理と治療-高血圧と貧血の治療の実際を含めて-」を聖マリアンナ医大高血圧・腎臓内科教授木村健二郎先生によりご講演いただきました。

ACEI/ARBとCCBの併用は降圧作用に優れるため心血管疾患の低減に効果がある。ACEI/ARBと利尿薬の併用は尿蛋白の低下により腎保護作用あるが、GFRの低下や低ナトリウム血症に注意する必要がある。ACEI/ARBとCCBと利尿薬の3者併用は、とくに高齢者において、脱水による急性腎障害に注意する必要があり、脱水をきたすような状況においては薬剤の中止をしなければならない。

高齢者のCKDでは、腎硬化症や虚血性腎症のように、尿蛋白を伴わないがGFRの低下している病態がよくみられる。一般に尿蛋白が多いとCKDの進行は早く、少ないと遅いといわれている。ACEI/ARBの投与により、尿蛋白が多い病態ではCKD進行を抑制するが、少ない病態では進行の抑制効果は少ない。CKDの治療において尿蛋白の有無は重要な意味を持つ。尿蛋白の状態によって選択する薬剤や降圧の目標血圧も変えていくべきである。現在CKDのステージはGFRの値によって1次元的に分けられているが、これに尿蛋白のパラメータを加えた2次元的な「ヒートマップ」によりCKDの評価がされるべきであり、CKD診療ガイドもそのような方向で改訂が進んでいる。よって、尿蛋白陽性のCKDではACEI/ARBを第一選択薬剤とし、必要に応じてCCBや利尿薬を追加して130/80を降圧目標とする。一方、尿蛋白陰性のCKDでは必ずしもACEI/ARBは第一選択薬とする必要はなく、140/90を降圧目標とする。高齢者に対するACEI/ARBの投与には注意が必要で、利尿薬との併用の場合、����ぢ水分や食事が取れないような状態では薬剤を中止すること。

貧血は高齢者においては非典型的な症状を示すことが多く注意が必要である。CKDにおける貧血(腎性貧血)は治療を要する。近年登場したESA(Erythropoietin-Stimulating Agent)は長時間作用型であり、外来診療で使いやすい。ヘモグロビン11g以下になれば開始し、13g以上で減薬または休薬する。CKDの病態にあっては、「心・腎・貧血関連」が知られており、心機能低下、腎機能低下、貧血の進行それぞれが、相互に悪影響を及ぼし合いながら悪化していく。したがって、貧血の治療は心血管障害やCKDの進行を抑制し生命予後の改善をもたらす。

豊富な臨床治験データをお示しになりながら、それらの科学的な意義を実際の臨床の場面でどのように生かすかを具体的な例を示しながら、ひとつひとつ丁寧に解き明かしていただきました。寸分のすきもない極めて充実した講演で、CKDについての理解がさらに深まり、明日からの診療に役立つ内容だったと思います。

【第36回臨床医学研修講座予告】(梶原光令先生 チェック済)

 第36回臨床医学研修講座が東海大学と第4地区の主管により、来る平成23年9月10日(土)午後2時より、平塚農協ビル(平塚駅南口より徒歩2分)にて開催される予定です。

【平成23年度秋季学術大会予告】(沼田裕一先生 チェック済)

 平成23年度秋季学術大会が第3地区横須賀市内科医会の主管により、来る平成23年11月19日(土)に「動脈硬化進展阻止を目指した高血圧・糖尿病治療戦略」というタイトルで横須賀市の横須賀セントラルホテルにて開催される予定です。 糖尿病に関するご講演は順天堂大学 河盛隆造先生に、また高血圧に関するご講演は、愛媛大学 檜垣實男先生にお願いしています。

神奈川県内科医学会の動き

神内医ニュース第66号(平成23年7月1日発行予定)「学会の動き」原稿下書き
神奈川県内科医学会の動き

【第74回集談会報告】(武田 浩先生)

 第74回集談会が第4地区秦野伊勢原医師会内科医会の主管により、平成23年2月12日(土)に厚木市のロワジールホテル厚木にて開催されました。一般演題は19演題を4つのセッションに分けて発表され、その後休憩をはさんで特別講演「糖尿病治療の新戦略」を聖マリアンナ医科大学教授、田中逸先生によりご講演いただきました。
 優秀演題として、永井医院松丸克彦先生による「非アルコール性脂肪性肝疾患におけるアディポネクチンと脂質代謝の検討」と、かしわぎクリニック柏木利幸先生による「低GI食品の血糖コントロールにおける有用性について」の2題が選定されました。

【平成23年度定時総会時学術講演会報告】(伊藤正吾先生)

 平成23年度定時総会時学術講演会が平成23年5月14日(土)に横浜市の神奈川県総合医療会館7階講堂にて開催されました。当会の7つの事業委員会の委員長による活動内容についての発表に続いて、先に記しました第74回集談会の優秀演題より松丸克彦先生による「非アルコール性脂肪性肝疾患におけるアディポネクチンと脂質代謝の検討」の発表のあと、休憩をはさんで、特別講演「腎不全高齢者の管理と治療-高血圧と貧血の治療の実際を含めて-」を聖マリアンナ医大高血圧・腎臓内科教授木村健二郎先生によりご講演いただきました。

ACEI/ARBとCCBの併用は降圧作用に優れるため心血管疾患の低減に効果がある。ACEI/ARBと利尿薬の併用は尿蛋白の低下により腎保護作用あるが、GFRの低下や低ナトリウム血症に注意する必要がある。ACEI/ARBとCCBと利尿薬の3者併用は、とくに高齢者において、脱水による急性腎障害に注意する必要があり、脱水をきたすような状況においては薬剤の中止をしなければならない。

高齢者のCKDでは、腎硬化症や虚血性腎症のように、尿蛋白を伴わないがGFRの低下している病態がよくみられる。一般に尿蛋白が多いとCKDの進行は早く、少ないと遅いといわれている。ACEI/ARBの投与により、尿蛋白が多い病態ではCKD進行を抑制するが、少ない病態では進行の抑制効果は少ない。CKDの治療において尿蛋白の有無は重要な意味を持つ。尿蛋白の状態によって選択する薬剤や降圧の目標血圧も変えていくべきである。現在CKDのステージはGFRの値によって1次元的に分けられているが、これに尿蛋白のパラメータを加えた2次元的な「ヒートマップ」によりCKDの評価がされるべきであり、CKD診療ガイドもそのような方向で改訂が進んでいる。よって、尿蛋白陽性のCKDではACEI/ARBを第一選択薬剤とし、必要に応じてCCBや利尿薬を追加して130/80を降圧目標とする。一方、尿蛋白陰性のCKDでは必ずしもACEI/ARBは第一選択薬とする必要はなく、140/90を降圧目標とする。高齢者に対するACEI/ARBの投与には注意が必要で、利尿薬との併用の場合、��緤�篆���茲譴覆い茲Δ幣�屬任鰐�泙鮹羯澆垢襪海函���貧血は高齢者においては非典型的な症状を示すことが多く注意が必要である。CKDにおける貧血(腎性貧血)は治療を要する。近年登場したESA(Erythropoietin-Stimulating Agent)は長時間作用型であり、外来診療で使いやすい。ヘモグロビン11g以下になれば開始し、13g以上で減薬または休薬する。CKDの病態にあっては、「心・腎・貧血関連」が知られており、心機能低下、腎機能低下、貧血の進行それぞれが、相互に悪影響を及ぼし合いながら悪化していく。したがって、貧血の治療は心血管障害やCKDの進行を抑制し生命予後の改善をもたらす。

豊富な臨床治験データをお示しになりながら、それらの科学的な意義を実際の臨床の場面でどのように生かすかを具体的な例を示しながら、ひとつひとつ丁寧に解き明かしていただきました。寸分のすきもない極めて充実した講演で、CKDについての理解がさらに深まり、明日からの診療に役立つ内容だったと思います。

【第36回臨床医学研修講座予告】(梶原光令先生 チェック済)

 第36回臨床医学研修講座が東海大学と第4地区の主管により、来る平成23年9月10日(土)午後2時より、平塚農協ビル(平塚駅南口より徒歩2分)にて開催される予定です。

【平成23年度秋季学術大会予告】(沼田裕一先生 チェック済)

 平成23年度秋季学術大会が第3地区横須賀市内科医会の主管により、来る平成23年11月19日(土)に「動脈硬化進展阻止を目指した高血圧・糖尿病治療戦略」というタイトルで横須賀市の横須賀セントラルホテルにて開催される予定です。 糖尿病に関するご講演は順天堂大学 河盛隆造先生に、また高血圧に関するご講演は、愛媛大学 檜垣實男先生にお願いしています。

2011年5月21日土曜日

神奈川県内科医学会の動き

神内医ニュース第66号(平成23年7月1日発行予定)「学会の動き」原稿下書き
神奈川県内科医学会の動き

【第74回集談会報告】(武田 浩先生)

 第74回集談会が第4地区秦野伊勢原医師会内科医会の主管により、平成23年2月12日(土)に厚木市のロワジールホテル厚木にて開催されました。一般演題は19演題を4つのセッションに分けて発表され、その後休憩をはさんで特別講演「糖尿病治療の新戦略」を聖マリアンナ医科大学教授、田中逸先生によりご講演いただきました。
 優秀演題として、永井医院松丸克彦先生による「非アルコール性脂肪性肝疾患におけるアディポネクチンと脂質代謝の検討」と、かしわぎクリニック柏木利幸先生による「低GI食品の血糖コントロールにおける有用性について」の2題が選定されました。

【平成23年度定時総会時学術講演会報告】(伊藤正吾先生)

 平成23年度定時総会時学術講演会が平成23年5月14日(土)に横浜市の神奈川県総合医療会館7階講堂にて開催されました。当会の7つの事業委員会の委員長による活動内容についての発表に続いて、先に記しました第74回集談会の優秀演題より松丸克彦先生による「非アルコール性脂肪性肝疾患におけるアディポネクチンと脂質代謝の検討」の発表のあと、休憩をはさんで、特別講演「腎不全高齢者の管理と治療-高血圧と貧血の治療の実際を含めて-」を聖マリアンナ医大高血圧・腎臓内科教授木村健二郎先生によりご講演いただきました。

【第36回臨床医学研修講座予告】(梶原光令先生)

 第36回臨床医学研修講座が東海大学と第4地区の主管により、来る平成23年9月10日
(土)午後2時より、平塚農協ビル(平塚駅南口より徒歩2分)にて開催される予定です。

【平成23年度秋季学術大会予告】(沼田裕一先生 チェック済)

 平成23年度秋季学術大会が第3地区横須賀市内科医会の主管により、来る平成23年11月19日(土)に「動脈硬化進展阻止を目指した高血圧・糖尿病治療戦略」というタイトルで横須賀市の横須賀セントラルホテルにて開催される予定です。 糖尿病に関するご講演は順天堂大学 河盛隆造先生に、また高血圧に関するご講演は、愛媛大学 檜垣實男先生にお願いしています。

2011年5月17日火曜日

神奈川県内科医学会の動き

神内医ニュース第66号(平成23年7月1日発行予定)「学会の動き」原稿下書き
神奈川県内科医学会の動き

【第74回集談会報告】(武田 浩先生)

 第74回集談会が第4地区秦野伊勢原医師会内科医会の主管により、平成23年2月12日(土)に厚木市のロワジールホテル厚木にて開催されました。一般演題は19演題を4つのセッションに分けて発表され、その後休憩をはさんで特別講演「糖尿病治療の新戦略」を聖マリアンナ医科大学教授、田中逸先生によりご講演いただきました。
 優秀演題として、永井医院松丸克彦先生による「非アルコール性脂肪性肝疾患におけるアディポネクチンと脂質代謝の検討」と、かしわぎクリニック柏木利幸先生による「低GI食品の血糖コントロールにおける有用性について」の2題が選定されました。

【平成23年度定時総会時学術講演会報告】(伊藤正吾先生)

 平成23年度定時総会時学術講演会が平成23年5月14日(土)に横浜市の神奈川県総合医療会館7階講堂にて開催されました。当会の7つの事業委員会の委員長による活動内容についての発表に続いて、先に記しました第74回集談会の優秀演題より松丸克彦先生による「非アルコール性脂肪性肝疾患におけるアディポネクチンと脂質代謝の検討」の発表のあと、休憩をはさんで、特別講演「腎不全高齢者の管理と治療-高血圧と貧血の治療の実際を含めて-」を聖マリアンナ医大高血圧・腎臓内科教授木村健二郎先生によりご講演いただきました。

【第36回臨床医学研修講座予告】(梶原光令先生)

 第36回臨床医学研修講座が東海大学と第4地区の主管により、来る平成23年9月10日
(土)に開催される予定です。

【平成23年度秋季学術大会予告】(沼田裕一先生 チェック済)

 平成23年度秋季学術大会が第3地区横須賀市内科医会の主管により、来る平成23年11月19日(土)に「動脈硬化進展阻止を目指した高血圧・糖尿病治療戦略」というタイトルで横須賀市の横須賀セントラルホテルにて開催される予定です。 糖尿病に関するご講演は順天堂大学 河盛隆造先生に、また高血圧に関するご講演は、愛媛大学 檜垣實男先生にお願いしています。

2011年5月10日火曜日

神奈川県内科医学会の動き

神内医ニュース第66号(平成23年7月1日発行予定)「学会の動き」原稿下書き

神奈川県内科医学会の動き

【第74回集談会報告】(武田 浩先生)

 第74回集談会が第4地区秦野伊勢原医師会内科医会の主管により、平成23年2月12日(土)に厚木市のロワジールホテル厚木にて開催されました。一般演題は19演題を4つのセッションに分けて発表され、その後休憩をはさんで特別講演「糖尿病治療の新戦略」を聖マリアンナ医科大学教授、田中逸先生によりご講演いただきました。
 優秀演題として、永井医院松丸克彦先生による「非アルコール性脂肪性肝疾患におけるアディポネクチンと脂質代謝の検討」と、かしわぎクリニック柏木利幸先生による「低GI食品の血糖コントロールにおける有用性について」の2題が選定されました。

【平成23年度定時総会時学術講演会報告】(伊藤正吾先生)

 平成23年度定時総会時学術講演会が平成23年5月14日(土)に横浜市の神奈川県総合医療会館7階講堂にて開催されました。当会の7つの事業委員会の委員長による活動内容についての発表に続いて、先に記しました第74回集談会の優秀演題2題の発表のあと、休憩をはさんで、特別講演「腎不全高齢者の管理と治療-高血圧と貧血の治療の実際を含めて-」を聖マリアンナ医大高血圧・腎臓内科教授木村健二郎先生によりご講演いただきました。

【第36回臨床医学研修講座予告】(梶原光令先生)

 第36回臨床医学研修講座が東海大学と第4地区の主管により、来る平成23年9月10日
(土)に開催される予定です。

【平成23年度秋季学術大会予告】(沼田祐一先生)

 平成23年度秋季学術大会が第3地区横須賀市内科医会の主管により、平成23年11月19日(土)に横須賀市の横須賀セントラルホテルにて開催される予定です。

2011年4月18日月曜日

「神奈川県内科医学会のご案内」パンフレット改訂のお知らせ

 「神奈川県内科医学会のご案内」パンフレット(A4版3つ折)初版は中会長の発案を受け2009年5月に情報広報部会の手により完成いたしました。会長挨拶、沿革、活動内容、入会方法などをコンパクトに凝集した内容で、新しい会員獲得のための強力なツールとして、これまでさまざまな会議・講演会の参加者への配布、神奈川県内科医学会以外の各種団体への入会勧誘資料など、地区医師会での配布をはじめとして、新入会員獲得のために活用されてまいりました。
 皆様もご存じのように、当会の各種事業委員会のめざましい活動は大学や行政とのコラボレーションを伴って発展し、2010年からは協賛会員の募集や寄付のお願いなども開始され、当会より働きかける対象は医師の枠を超えて広がり、当会を対外的にアピールする機会が増えると同時に各方面からの当会に対する興味関心も高まり、公式のパンフレットの重要性はますます大きくなっていると言えましょう。
 このような状況にかんがみ、このたび2011年春からの新体制への切り替わりに際して改訂を行い、さらに内容をパワーアップする予定です。新入会員獲得の切り札として、また神奈川県内科医学会の対外的なプレゼンスを高めるためにも、会員ひとりひとりの関わりあるあらゆる機会において、積極的に活用していただきたくお願い申し上げます。
 ご利用に際しては、神奈川県内科医学会事務局に必要部数をお知らせいただければ、速やかにお手元にお届けできるようにしたいと思います。またPDF版をホームページ(http://www.kanagawamed.org)からダウンロードできるように取り計らいたいと思います。なにとぞ神内医パンフ改訂版をよろしくお願い申し上げます。

2011年4月3日日曜日

愚公山を移す

 太行山と王屋山は、四方七百里、高さ一万仞もあって、もとは冀州の南、河陽の北にあった。
 
 北山の愚公という人は、年がもう九十に近く、この二山に面して住んでいたが、山が北に塞っていて往来に不便なのに閉口し、家中の者をよびあつめて、こう相談をもちかけた。
 
 「わしはお前達とありったけの力を出しあって険しい山を平らにし、
  予州の南まで一本道をきり開き、
  また漢水の南まで行けるようにしたいと思うんだが、どうじゃろう。」
 
 一同はうち揃って賛成の意を表したが、その細君だけが疑いをさしはさんで、
 
 「あなたの力では小さな丘でさえ、
  切り欠くことも出来ないでしょうに、
  太行や王屋のような大きな山がどうなるものですか。
  それに切りとった土や石をどこに置こうというのです。」
 
 と言った。しかし外の者たちは、
 
 「その土や石は勃海の浜、隠土の涯てにでも投げすてるさ。」
 
 と大変な意気込みで、とうとう相談がまとまり、愚公は三人の子供や孫を荷担ぎに引きつれ、石を叩き割り土を掘りかえし、箕や畚でそれを勃海の浜に運びはじめた。
 
 愚公の隣家の京城氏の後家さんには、やっと七つか八つになった男の子があったが、その子も大喜びで助太刀に参加し、一年たってやっと勃海まで一往復をすますというありさまであった。
 
 黄河のほとりに住む智叟という人は、それを見て、笑いながら愚公に忠告した。
 
 「あんたの馬鹿さ加減も大したものだ。
  老先き短いあんたの僅かな力では、
  山の一角さえ切り欠くことはできまいに、
  こんな大きな山の土や石をどうしようというんだ。」
 
 すると北山の愚公は哀れむように嘆息しながらこう答えた。
 
 「お前さんみたいな浅はかな心の持主には到底わかるまいな。
  お前さんの知恵はあの小僧っ子にも及ばんわい。
  よいかな、
  たとえ老先き短いわしが死んだとして、
  子供は残るし、
  子供はまた孫を産み、
  孫はまたその子供を産み、
  その子供にまた子供ができ孫ができして、
  子々孫々とだえることはあるまいて。
  ところが山の方はふえるもんじゃあない。
  とすれば、
  いつかはきっと平らかになる時が来ようはずじゃああるまいか。」
 
 智叟もそれを聞いて二の句がつげなかったが、もっと驚いたのは二山の主である蛇神である。山の切り崩しがいつまでも続けられてはかなわぬというので、その事情を天帝に訴え出たので、天帝は愚公の真心に感心し、力持ちの神である夸娥氏の二子に命じ、太行・王屋の二山を背負わせ、一山を朔東の地に、一山を雍南の地に遷してやったので、それからというもの、冀州の南、漢水の南には、小高い丘さえも在しなくなった。
 
 
 以上が「列子」の「湯問篇」に語られた「愚公山を移す」の寓話のあらましである。平野開拓を主題とする土地伝説としての民俗学的意義も十分に認められるが、それよりも勉めて已まざれば大事も必ず成功するという譬喩として読むほうが面白いし、愚公と智叟と、いずれが真の愚であり智であるかも問題である。だから邦儒室鳩巣も、その著「駿台雑話」にこの寓話を批評して、
 
 「およそ天下の事、
  愚公の心ならば遅くも一たびは成就すべし。
  然るに世に智ありと称するほどの人は、
  おほかた智叟が心にて、
  愚公が山を移すやうなことを聞きてはその愚を笑うほどに、
  何事もその功を成就せぬなるべし。
  然れば世のいはゆる愚は却って智なり、
  世の智は却って愚なり。」
 
 と言っている。