神奈川県内科医学会
第1回総務企画部会
平成29
年6月5日(月)
午後7時45
分~
神奈川県総合医療会館
1階会議室B
1
開 会
2
挨 拶
年度が改まり、新規役員の交代もあるだろう。総務企画部会より各部会・委員会にお尋ねして取りまとめたい。
新しい企画についてもアイデアを出しながら議論を深めたい。(宮川会長)
3
議 題
(1)総務企画部員の交代について
原
芳邦 先生(茅ヶ崎)← 高橋 功 先生(茅ヶ崎)
※各部会・各委員会の新しい部会長・委員長、副部会長・副委員長、構成員について
総務企画部会にお知らせいただきたい。
(2)第2回幹事会(6/15)の司会・書記について
司会 岡、 書記 小林 先生
※9月14日(木)認知症を考える神奈川の会
9月21日(木)幹事会、10月19日(木)幹事会 行います。
10月19日(木)幹事会は高血圧学会のため宮川会長欠席となります。
(3)第2回幹事会(6/15)の議事について
議事および進行について検討を行った。報告事項に「糖尿病対策委員会報告(武田副会長)」を追加する。
(4)学術活動について
(4-1)平成29年定時総会時学術講演会(平成29年5月20日土曜日)の反省(資料A)
平成29年5月20日(土)17:20~19:20 横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ4階「清流Ⅰ」
共催メーカー 第一三共
開会の辞 宮川政昭 会長
講演1 座長 高血圧腎対策委員会委員長 佐藤和義 先生
「CKDに克つための血圧管理とは」
講師 横浜市立大学医学部 循環器・腎臓内科学教授 田村功一先生
講演2 座長 神奈川県内科医学会幹事 長谷川修 先生
「環境因性神経疾患(公害病・医原病)~医師による気づきの重要性~」
講師 鈴鹿医療科学大学医療科学研究科長 葛原茂樹
先生
アンケート結果(資料B)
※平成30年の定時総会は5月19日(土)神奈川県総合医療会館にて
9月の日臨学会に戦力を投入のため、学術講演会なし、共催メーカーなしで開催の予定
(4-2)第42回臨床医学研修講座の企画
平成29年9月2日(土) 担当は聖マリアンナ医大(明石教授) と 第2地区
共催メーカー 第一三共
※平成30年の臨床医学研修講座は9月の日本臨床内科医学会に統合するためなし。
(4-3)平成30年新春学術講演会の企画
日時 平成30年1月18日(木)
横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ
18:00より幹事会 19:15より講演会
担当 高血圧・腎疾患対策委員会
共催メーカー 未定(猿田先生の意向を汲み、高血圧・腎疾患対策委員会で候補を選定)
講演1 「慢性腎臓病合併2型糖尿病症例におけるSGLT2阻害薬投与の影響」 (仮)
講師 高血圧・腎疾患対策委員会 小林一雄 先生
講演2 「日本人の高血圧の成因と最適治療法の研究」
講師 日本臨床内科医会会長 猿田享男(さるた たかお)先生
※猿田先生には、4月16日の日本臨床内科医学会総会の際に了解済み
(4-4)第81回集談会の予定
※次回平成30年の集談会は秋の日本臨床内科医学会に統合するためなし。
平成31年に第81回集談会を第1地区で開催予定。
(5)その他
※平成29年8月5日(土)17時~崎陽軒にて「故中山名誉会長をしのぶ会」を有志で行います(宮川会長)
※平成30年2月18日(日)開港記念会館にて「禁煙神奈川会議」を開催します(長谷先生)
※消化管について勉強する新しい委員会の新設、
あるいは現在の「肝炎対策委員会」の拡張について検討してほしい(武田副会長)
4
次回開催について
日時:平成29
年9月11
日(月)午後7
時45
分
~
場所:県総合医療会館1階会議室B
(資料 A)
【平成29年度定時総会時学術講演会報告】
平成29年5月20日(土)に横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ4階「清流」にて、午後4時より評議員会、午後4時20分より定時総会が開催されました。小野副会長の開会と宮川会長の挨拶に続いて、評議員会で議長をされた原芳邦先生より評議員会の報告を受けた後、宮川会長に議長をお願いして予定された議事の採決を行いました。第41回臨床医学研修講座を担当した横浜市立大学と第80回集談会を担当した海老名内科医会に感謝状が贈呈され、引き続き各地区より推薦された先生方に表彰状が贈呈されました。第80回集談会優秀演題として「高齢者のピロリ除菌は何歳まで行うべきか 年齢別による除菌後の内視鏡所見の改善度と組織学的変化の検討」をご発表された南毛利内科抗加齢/人間ドックセンターの内山順三先生と「当院における睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治験」をご発表された海老名ハートクリニック脳神経外科の矢部熹憲先生のお二人が表彰されました。資料中の事業委員会報告についての質問はなく、出川副会長の閉会の挨拶の後の時間で、新しい事業委員会の「リウマチ・膠原病対策委員会」の委員長に就任された聖隷横浜病院リウマチ・膠原病センター長の山田秀裕先生のご挨拶を頂戴しました。
午後5時20分より定時総会時学術講演会が行われました。宮川会長の開会の挨拶の後、高血圧・腎疾患対策委員会委員長佐藤和義先生が座長をされた講演1「CKDに克つための血圧管理とは」を横浜市立大学医学部循環器・腎臓内科学主任教授
田村功一先生にご講演をいただきました。ご講演の内容を簡単にご紹介します。
我が国に非常に多い慢性腎臓病(chronic
kidney
disease:CKD)や高血圧や心血管病を、演者の教室では「心血管腎臓病」として一体的に捉えてアプローチしている。重症動脈硬化による足趾の壊死性病変や急性腎障害に対して行われるLDL吸着療法は血管内皮細胞の活性化を介して効果を発揮するため、正コレステロールの人でも効果的であり先進医療の対象の医療技術として認められている。
CKDとは、(1)アルブミン尿や血尿といった腎障害、(2)eGFR<60といった腎機能低下、(1)(2)いずれか、または両方が3か月以上続くものと定義される。末期腎不全者の総数は増加しているが、かつて多くを占めた慢性糸球体腎炎は減少傾向で、糖尿病性腎症や高血圧による腎硬化症が増加している。できれば自覚症状を伴わない微量アルブミン尿の段階で生活習慣病をしっかり治療することが望ましいが、実際には不可逆的な腎の線維化がおこり、GFRの低下が始まった段階から治療に入る場合が多く、十分な治療効果が得られないことが多い。CKDの重症度は血液検査(eGFR)と検尿(アルブミン尿)との組み合わせで評価する。
CKDの治療は(1)肥満やストレスの解消や禁煙・節酒といった「生活習慣の改善」、(2)減塩・水分摂取・蛋白制限などの「食事療法」、(3)血圧管理のための「薬物療法」を行う。血圧管理目標は、蛋白尿陽性あるいは糖尿病合併の場合130/80以下とする。ただし米国SPRINT研究で示されたように、収縮期血圧120未満の「厳格降圧群」では複合心血管病は減少したが、腎不全は減らなかったことをみると、脳心血管病とCKDでは降圧の意味合いが異なるようである。
CKDの血圧管理においては血圧の日内変動にも注目する必要がある。降圧の質を向上させるためにも診察室血圧以外も見ていくことが重要である。24時間自由行動下血圧測定(ambulatory
blood pressure
monitoring:ABPM)によれば、夜間血圧が下がらない(non-dipper)あるいは上昇する(riser)人がCKDでは多くみられる。食塩9.8gから4.4g/日の減塩により、収縮期マイナス10、拡張期マイナス4の降圧が得られるという。また早朝高血圧の人は降圧薬の就寝前服用のほうが腎障害改善効果が得られやすい。そこでCKDに克つための血圧管理としては(1)減塩、(2)少量の利尿薬、(3)時間医学的な介入、(4)長時間作用型の降圧薬により夜間の血圧を下げ、血圧の変動性を抑えることである。
演者らの最新の研究から、ATRAP(angiotensinⅡ
receptor-associated
protein)とCKDについての話題を提供したい。ATRAPはAT1受容体への結合蛋白質であり、脂肪組織や腎臓に多く発現している。CKDなどの腎障害により、腎臓におけるATRAPの発現が低下すると、ナトリウム再吸収チャネルが増えてナトリウムの再吸収が亢進し、高血圧がすすむことでCKDが増悪するという悪循環が起こっていると考えられる。したがってATRAPの活性化を図ることによってCKDの進行を抑制することを期待し、現在研究を進めているところである。
次に神奈川県内科医学会幹事長谷川修先生が座長をされた講演2「環境因性神経疾患(公害病・医原病)~医師による気づきの重要性~」を鈴鹿医療科学大学大学院医療科学研究科長
看護学部看護学科教授 葛原茂樹先生よりご講演をいただきました。ご講演の内容を簡単にご紹介します。
神経内科の診療においては、検査データよりも患者を直接見たり触ったりすることが役立つことが多い。本当は公害病であったり、医原病であったりした様々な神経疾患の正しい原因に迫るため医師による気づきがいかに重要かということについてお話ししたい。
1950年代後半に熊本県水俣市を中心として視野狭窄や小脳失調をきたし、痙攣を起こして死に至る奇病が多発し、やがて水俣にとどまらず有明海沿岸全体に拡大する傾向が見られた。1940年に英国で報告されたメチル水銀への直接暴露によるハンター・ラッセル症候群によく似た症状だったが、原因物質の特定に時間がかかり、最終的にチッソ水俣工場の排水に起因する食物連鎖によるメチル水銀中毒と判明したが、工場責任者による隠ぺい工作や学者間での意見の対立などもあり、当時の厚生省による事実の認定が遅れ被害が拡大した。
1955年頃、激しい下痢と腹痛、下肢の痺れ痛み麻痺、視力障害から失明に至り、痙攣を起こして死亡する疾患が報告され、亜急性脊髄視神経症(subacute
myelo-optico-neuropathy:SMON)と命名された。1967~1968年頃全国で多発し、ウイルス感染症説がマスコミに流れたためパニックとなり、患者は不当な差別と偏見にさらされ、一家心中まで起きる事態となった。SMON患者は緑の舌、緑の尿、緑の便が特徴的で、これは整腸薬キノホルムと鉄のキレートと判明した。キノホルムの添付文書には「腸管から吸収されない」と書かれており、当時多くの外科医が手術前後の腸管内の殺菌のため大量のキノホルムを投与していた。大規模なカルテの調査により、キノホルムを多く投与された患者にSMONが発症していること、また実はキノホルムは腸管からよく吸収されることも分かり、SMONの原因はキノホルムによる神経障害であることが確定し、1970年にキノホルムの販売中止後SMONの発症は無くなった。この事件から薬剤誘発性の疾患は疫病と見分けがつきにくいという教訓を得るとともに、「健康被害救済制度」と「難病対策と研究班」の2つの制度が生まれるきっかけとなった。
南九州、四国南部、沖縄と北海道、東北に見られるAdult
T-cell leukemia(ATL)の原因ウイルスは、縄文人が保有していたと考えられているHuman
T-lymphotropic
virus(HTLV-1)である。ATLの分布と重なるように特徴的な神経疾患がみられる。慢性の脊髄の炎症により、進行性の歩行障害や膀胱直腸障害をきたす。その患者の髄液中にATL細胞が観察されたことより、ATLと共通の病原体HTLV-1が原因と考えられHTLV-1
associated
myelopathy(HAM)と命名された。このウイルスは母乳を介して乳幼児期に感染し中年期になってから発症することが分かった。
1980年代に高齢者に対して多くの「脳循環代謝改善薬」が発売され、多くの患者に投与された一時期があった。脳の代謝を活発にする薬理作用を持つとされ、脳梗塞や脳出血に伴う意欲低下、情緒障害を適応としていた。当時は痴呆に対する有効な治療法がないことから医療現場で広く使われていたが、一部の患者に肝臓の急性脂肪変性(Reye様症候群)を発症し、消化器症状から昏睡状態になり死亡する例がみられた。また「脳循環代謝改善薬」の多くは効果がないことがわかり、承認を取り消された。また1987年に、急速に進行する無動と筋強剛により数か月で寝たきり状態となる症例を経験した。片頭痛発作の予防薬であるカルシウム拮抗薬塩酸フルナリジンによる薬剤性パーキンソン病と判明した。
中心静脈栄養を行う際にも、欠乏症や過剰症に注意する必要がある。ビタミンB1欠乏による部分的眼球運動障害、運動失調、記憶障害を伴うウェルニッケ脳症、マンガンイオン過剰によるパーキンソン様症状、易怒性、幻覚を伴うマンガン脳症、セレン欠乏症による心筋壊死、軟骨の変性、甲状腺機能低下とセレン過剰症による胃腸障害、末梢神経障害、爪の変形や脱毛などである。
最近次々と発売される新薬や先進医療の副作用にも注意する必要がある。医薬品医療機器総合機構(Pharmaceuticals
and Medical Devices Agency:PMDA)の報告書によく目を通しておくことである。
気づきの能力を高めるためには、患者をよく見て、よく診て、数多くみる。そして何か変だと思ったら、情報を集める。同業者からの情報や文献により不足を補うようにすれば、知識が無ければ見逃すことも、しっかり気づくことができるようになるであろう。
講演会終了後、別室にて情報交換会が行われ、盛会の内に終了しました。
【参考】本体事業講演会一覧表 最近12年間+3年先 ( )内は地区
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新春学術講演会
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集談会開催地
|
総会時学術講演会
|
臨床医学研修講座
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秋季
|
2020/H32
|
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(2)
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東海(4)
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なし
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2019/H31 |
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(1) |
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北里(5) |
なし
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2018/H30 |
高血圧・腎疾患
1/18
|
なし
日臨学会に統合
|
会議のみ
神奈川県総合医療会館 5/19
|
なし
(4大学合同開催で日臨学会に統合) |
日本臨床内科医学会
|
2017/H29 |
医薬品評価検討
肝炎対策1/19 |
海老名(5)2/18 |
CKDに克つための血圧管理とは・田村功一 環境(公害)と医学~医師の観察の重要性~・ 葛原茂樹 ベイシェラトンH&T 5/20 |
聖マリ(2)9/2 |
なし
|
2016/H28 |
禁煙・分煙推進
呼吸器疾患対策
|
小田原(4) |
高齢認知症とうつ病・中村祐
地域の医療提供体制・高橋泰
ベイシェラトンH&T 5/21 |
横市(1)10/15
市大センター病院
|
なし |
2015/H27 |
糖尿病対策 |
横須賀(3) |
医学史・酒井シヅ |
東海(4)10/31 |
なし |
2014/H26 |
高血圧・腎疾患 |
川崎(2) |
遺伝子・和泉俊一郎 |
北里(5) 11/1 |
なし |
2013/H25 |
肝炎対策 |
横浜(1) |
iPS細胞・中畑龍俊 |
聖マリ(2) 9/21 |
なし |
2012/H24 |
呼吸器疾患対策 |
厚木(5) |
医事紛争・平沼高昭 |
横市(1)10/20 |
川崎(2) |
2011/H23 |
糖尿病 |
厚木(4) |
腎不全・木村健二郎 |
東海(4) 9/10 |
横須賀(3) |
2010/H22 |
糖尿病 |
湘南国際村(3) |
糖尿病・山田祐一郎 |
北里(5) 9/18 |
藤沢(4) |
2009/H21 |
糖尿・腎臓 |
川崎(2) |
医療行政・行天良雄 |
聖マリ(2) 9/27 |
横浜(1) |
2008/H20 |
亜鉛 |
横浜(1) |
糖尿脂質・肝炎 |
横市(1) 9/28 |
横浜(1) |
2007/H19 |
胃と大腸 |
大和(5) |
医療行政・眼科・メタボ |
東海(4) 9/30 |
横浜(1) |
2006/H18 |
|
|
糖尿病・医学教育 |
北里(5) 10/1 |
横浜(1) |
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