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2013年10月23日水曜日

機能性胃腸疾患の臨床 2013年10月13日

機能性胃腸疾患の臨床 兵庫医科大学内科教授 三輪洋人 
日本臨床内科医学会 2013年10月13日 神戸国際会議場にて

胃痛・胃もたれ・胸焼・腹痛・下痢・便秘等の症状があるが器質的疾患のないものをfunctional gastrointestinal disorder(FGID)と総称する。non-erosive reflux disease(NERD),functional dyspepsia(FD),irritable bowel syndrome(IBS)の3疾患で、潜在的な患者数が多く、QOLの低下をきたし、社会的な生産性を低下させるため注目されている。診断は2006年のRomeⅢ基準による。NERDは内視鏡的に食道炎がないが逆流症状を呈する疾患である。FDの定義は慢性に経過する食後膨満感、早期満腹感、心窩部痛、心窩部灼熱感である。IBSは慢性に経過する腹痛・腹部不快があり、排便で症状軽快し、排便頻度の変化や便形状の変化を伴うものである。原因は複雑だがストレスによる消化管運動機能障害と消化管知覚過敏によると考えられる。その背景には、母子分離ストレスや性的虐待、革命・戦争体験による中枢神経発達障害や遺伝子解析で見出される一塩基多型によるストレス応答性の異常も示唆される。FGIDにはストレスへの対応力を身につけさせる心療内科的アプローチが有効で、効果のある薬物は少ないが最近開発されたラモセトロンやアコチアミドには一定の効果が認められる。

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